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トミーさんって、どんな人?
Who's Tommy Hilfiger?
2026年3月6日
photo: Caroline Fiss
editt: POPEYE
トミー・ヒルフィガーさんの人柄や生き方を知れば、プレッピーがなんたるかを、より深く感じられ、自分のものにできるはず。そんな思いから、トミーさんにインタビューを打診。こちらの投げかけた質問に、とても真摯に、そして率直に答えてくれた。まずは、ファッションを志したきっかけから聞いてみよう。
POPEYE
ファッションに目覚めたのはいつですか?
トミーさん
ニューヨーク州の郊外のエルマイラという街で育ち、幼少の頃からベルボトムジーンズを買うためにニューヨークによく出かけていました。それを、車のトランクに並べて地元で販売していたのです。それは私が愛するすべてが完璧に融合した瞬間といえます。憧れのロックンロールスタイルを通して、自分の手で何かを築き上げる高揚感を得る。このときからファッションは私にとって刺激的なものになりました。
POPEYE
ファッションで生きる選択に迷いはなかったですか?
トミーさん
元々、自分には伝統的なファッションのバックグラウンドがあったわけではなくて、誰かに用意された道もありませんでした。だからこそ、自分で道を切り拓くしかなかった。すべては自然な流れで始まりました。1969年に最初のショップ『People’s Place』をオープンしたのは、いろんな人たちが集まれる場所をつくりたかったから。スタイルや音楽、ユースカルチャーが混ざり合うあのエネルギーの中にいることが本当に好きで、自分の手で何かを築いている実感に大きな喜びを感じていました。その感覚を一度味わってしまったら、もう迷いはなかったですね。これが自分のいるべき世界だって、自然に思えた。クリエイティブであること、そして起業家精神。両方が重なり、僕はこの道へ導かれましたし、それは今もずっと走り続ける原動力になっています。
POPEYE
『People’s Place』を開店した日の気持ちは? 閉店後、またファッションに戻ろうと決めたときは、どんな思いでしたか?
トミーさん
18歳で『People’s Place』をオープンした日は、とにかく楽観的で、人生でいちばんワクワクしていた時期だったと思います。ただ、その後、20代で破産を経験。それは本当に辛かったし、正直、打ちのめされました。でも、振り返ってみると、あれがキャリアの中でいちばん大きな学びだったとも思っています。ビジネスの仕組みを一から理解することになったし、どうやって会社を運営するのか、その現実を身をもって知った。何より、もう一度立ち上がるための強さと粘り強さを身につけることができました。そしてファッションの世界に戻ったときは、新たな目的意識をもって臨み、明確なビジョンを携えていました。前よりもずっと強くなって戻ってきた、そんな気がします。
POPEYE
ずばり、プレッピーとはどんなスタイルだと思いますか?
トミーさん
プレッピースタイルの根幹にあるのは、アイビーリーグのクラシックなヘリテージから生まれたもの。そして、クリーンで、大胆で活気に溢れ、可能性に満ちたアメリカーナの楽観主義です。時代を超越したスタイルでありながら、常に着る人それぞれが自由な解釈で楽しむことができる。カジュアル、ドレッシー、スポーティ、あるいはこれら3つを自然にミックスしたスタイルもあり、とても奥深いものです。
POPEYE
トミーさんにとってプレッピーの象徴的なアイテムは?
トミーさん
オックスフォードシャツ、バーシティジャケット、チノパン、ケーブルニットセーター、そして上質なローファーが定番といえます。ベーシックなアイテムこそがプレッピーの核だと思っています。私たちは長年にわたって、そのスピリットを大切にしながら、これらのアイテムを現代的にアップデートしてきました。
POPEYE
プレッピーのどんなところに魅力やインスピレーションを感じますか?
トミーさん
いちばん好きなところは、エッセンシャルがいつの時代も変わらないことですね。ネイビーブレザーやパリッとしたボタンダウンシャツ、バーシティジャケット、ラグビーシャツ。そういった本当のクラシックを軸にしたワードローブには、いつも心を動かされます。これらのアイテムは、長い時間を経ても色あせることがないのです。さらに面白いと思うのは、そこに着る人それぞれの個性が加わること。同じ定番でも、レイヤードやシルエット、着こなしのムードによってまったく違って見える。どの世代も、自分たちなりのやり方でアップデートしていくところからインスピレーションを受けます。伝統と自己表現、そのふたつが自然に混ざり合うことで、プレッピーはずっと魅力的であり続けると思います。
POPEYE
‘26年春夏、お気に入りのプレッピールックは?
トミーさん
タイムレスなシャツとネクタイに、肩にクリケットセーターを羽織って、クールなチノパンを合わせる。そんなクラシックなプレッピールックが好きですね。それは、私がずっと愛してきたニューヨークらしいムードでもあります。シャープで洗練された印象がありながら、けっして堅苦しくない。テーラードのアイテムに、あえてリラックスしたピースをミックスするのがポイント。きちんとして見えるけれど、フォーマルすぎない。そのバランスが大事です。プレッピーと抜け感のちょうど中間に理想的なスタイルがあり、そのスピリットは〈TOMMY HILFIGER New York〉レーベルにも反映。時代に左右されない定番をベースにしながら、現代的でフレッシュなツイストを加えています。
POPEYE
プレッピースタイルのアイコンといえば?
トミーさん
ファッションとエンターテインメントを自然体で融合させた“レジェンド”は、いつの時代も私の憧れ。特に、スティーブ・マックイーンは特別な存在です。クラシックなテーラリングと彼自身の個性を融合させたスタイルはとてもモダンで、時代の遥か先を行っていました。自信がありながら、余裕のあるムードにも、大いに刺激を受けてきました。
POPEYE
若い世代でプレッピーだと思う著名人を教えてください。
トミーさん
ブランドの元メンズウェア・アンバサダーであり、私たちがスポンサーを務めた映画『F1®/エフワン ザ・ムービー』の主要キャストを務めたダムソン・イドリス。まさに彼は飛躍的な成長を遂げています。大いなるガッツを秘め、同時に優雅さを備える。もう一人、パトリック・シュワルツェネッガーにも惹かれます。『The White Lotus』というドラマシリーズに出演し、〈トミー ヒルフィガー〉のキャンペーンのモデルも務めてくれました。ナチュラルな魅力と遊び心を持ち、現代のプレッピー精神を完璧に体現しています。
POPEYE
過去と現在で、プレッピーは変わりましたか?
トミーさん
間違いなく進化していると思います。ただ、ルーツは今も変わっていません。私が最初にプレッピーに惹かれた頃は、カレッジスタイルやバーシティのムード、そしてシャープなテーラリングが自然にミックスされていて、そこに独特の自信がありました。それがすごく新鮮に映ったのです。もちろん変化もあって、その最たるものは “解釈の仕方”ですね。フィットは変わり、シルエットやプロポーションはより大胆になり、エネルギーはグローバルになり続けている。ブランドを始めた当初から、そうした伝統的なベースに新しいスピリットを吹き込みたいと思ってきました。クラシックをそのまま残すのではなく、今の時代に合う形にアップデートしていく。今のプレッピーは、ただ出自をなぞるものではなくて、それぞれの世代が自分たちなりに再解釈していくという点に意味があります。
POPEYE
ファッションとカルチャーの理想的な関係をどのように考えますか?
トミーさん
それは、ずっと続く“対話”のようなものだと思っています。私たちは常に、ポップカルチャーとのつながりの中に大きな力があると感じてきました。カルチャーは人と人を自然に結びつけてくれる、いわば共通言語のような存在だからです。ファッションにアートや音楽、エンターテインメント、スポーツを掛け合わせることで、ブランドに独自のエネルギーが生まれる。大切なのは、常に今起きていることに目を向けながら、リアルでオーセンティックな瞬間をつくること。そして、正しい人たちとパートナーシップを築くことだと思っています。それによって、服そのものを超えたつながりが生まれる。ただのプロダクトではなく、意味のある“何か”になり、カルチャーの物語の一部になっていくのです。
POPEYE
今後、〈トミー ヒルフィガー〉は、どんなブランドであり続けたいですか?
トミーさん
これからも、私たちがずっと“大切にしてきたこと”を変わらず続けていきたいですね。根底にあるのは、バイタリティと自信、そして恐れず挑戦する姿勢。その芯はこれからも持ち続けたいと思っています。プレッピーのコードを何度でもアップデートしながら、新しい解釈を提案していく。そして、着る人がもっと大きな夢を描いて、自分らしくスタイルを楽しめるようなブランドでありたい。私にとっては、特別な人だけのものだったファッションの扉を開くこともまた、ずっと大切なテーマです。クラシックなプレッピーを、より大胆でモダンな楽観主義とともに再構築していく。そのスピリットこそが、これまでの〈トミー ヒルフィガー〉をつくってきたし、これから先もブランドを前に進めてくれるでしょう。
POPEYE
現在、ファッション以外で情熱を注いでいることを教えてください。
トミーさん
情熱や卓越性の追求、スポーツは常に私を刺激してきました。だからこそ、今年スタートするキャデラックF1チームとのパートナーシップは、“革新”を駆動力とする2つのアメリカのアイコンが最高峰の舞台で結ばれるという、非常に意義深いものです。キャデラックF1チームは、私たちと同じようにエンターテインメントへのパッションを持ち、ストーリーテリングとつながりの力を深く理解しています。ともに築き上げていくものを、世界に向けて発信するのが待ちきれません。
POPEYE
その前向きさとモチベーションはどこから来ますか?
トミーさん
私は生まれながらの楽観主義者で、常に「次に何が起こるのか」とワクワクしています。それはプレッピーやカルチャーの次の潮流を見つけることであり、カルチャーにおける次の大きなムーブメントを見つけることも同じ。’90年代からF1のパートナーとしてチームと提携し、アメリカのSailGPチームの初期からのサポーターであることは大きな誇り。高速でハイリスクなレースは、観る者に大きな刺激とインスピレーションを与え、ファンを拡大しています。私たちがそうしたエネルギーをファッションに注ぎ込み、スタイルとスポーツ、そしてカルチャーが融合して、想像を超えた“シナジー”が生み出される。それは私にとって究極の勝利です。
POPEYE
トミーさんにとって成功とは? 失敗とは?
トミーさん
成功とは“北極星”。見上げれば、ずっと“そこ”にあります。自分たちのビジョンに忠実に、これまで築き上げてきたものに誇りを持っていますが、常に改善して“偉大な場所”に向かって突き進むことを怠ってはならない。努力の余地はずっと残されているのですから、「ここがゴールライン」というものはないのです。そして、失敗とは“教訓”。すべての挫折はより強く、より賢く前進するために大切なことを教えてくれます。
POPEYE
モットーや指針、大切にしている言葉は?
トミーさん
「Never give up.」です。
POPEYE
日本のプレッピーを愛するファンにメッセージをお願いします!
トミーさん
日本は世界で最も好きな場所の一つです。訪れるたびに、日本に息付く“素晴らしい鼓動”を感じます。街は創造性と個性、そしてインスピレーションで溢れています。人々が独自のスタイル、特にプレッピーを表現する手法には、いつも感動させられます。みなさんが、日々をハッピーに過ごせますように。またすぐに戻ってこられることを願っています。
今、僕らがプレッピーを明るく前向きで遊び心に満ちたスタイルと捉えているのは、〈トミー ヒルフィガー〉というブランドの存在が大きい。そして、〈トミー ヒルフィガー〉のポジティブなエネルギーは、トミーさんの情熱溢れる生き方そのものなのだ。プレッピーを愛し、プレッピーに愛された男。トミーさんには、“Mr. PREPPY”という称号がふさわしい!
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