カルチャー

机の上のサイエンス。Vol.20

テンセグリティ モデル

2023年2月3日

text & edit: Shogo Kawabata
photo: Akira Yamaguchi
2023年2月 910号初出

身近にも存在する張力で形作られる構造体

テンセグリティの構造を6本の木材とゴムバンドで体験できるキット。木材はお互いに触れ合うことなく張力によって統合性を保っている。
テンセグリティキット¥1,320(イメージミッション木鏡社☎054·200·2818)

 テンセグリティ(Tensegrity)とは、「tension(張力)」と「integrity(統合性)」をかけ合わせた造語で、建築家であり、偉大な思想家でもあったバックミンスター・フラーが提唱したもの。部材同士は直接接触しておらず、その両端をワイヤなどで互いにつなぎ、それらをお互い引っ張り合う張力によって、構造体を成立させる。構造体の要素を削り落としていき最小限の構成を突き詰めると、このテンセグリティは最適解のひとつであるといわれている。
 この構造は、建築物だけでなく、テントなどにも応用されており、実は身近なものだ。部材が宙に浮いているように見える、無重力状態を感じさせる視覚的効果もあり、アート作品などにも使われている。