From Editors

スポーツを楽しもうよ。

NO.951

2026年6月8日

「雑誌作りはスポーツだ」。1976年にポパイを創刊した当時の編集長・木滑良久さんの編集後記をまとめた書籍『編集者の時代』のサブタイトルにはこうあります。自分がこの一文に初めて出合ったのは、おそらく新入社員のころ。当時は、「なるほどー、雑誌作りはスポーツなのかー」といった感じで、あまり深く考えていなかったのですが、50周年の記念号を作りながら、久しぶりにこの言葉を思い出しました。

それは単純に目の回る忙しさだったせいもあるかもしれませんが、特集を準備するにあたって、創刊号をじっくり読み直したからかもしれません。
ポパイ創刊号の編集後記「from the Editing Desk」にはこんな一節があります。

●ポパイ創刊号では、カリフォルニアの若い世代の暮らし方、特に彼らのスポーツ・ライフを紹介することに、多くのページをさきました。スポーツ・ライフは現代人として生きのびるために、かけがえのない自分を健康にするために、とても重要なことだと考えたからです。スポーツを楽しもうよ、というのは、アメリカの同世代からのすばらしいメッセージだと思います。どんなささいなことでもいいから、自分の時間をスポーツに使いましょう。

これを読むと、「雑誌作りはスポーツだ」というときにイメージしていた「スポーツ」は、きっと貪欲に勝利を追い求めるプロフェッショナルなアスリート集団ではないんだろうなと思えてきます。そうではなくて、まさにポパイが創刊当初に取材していた、輝く太陽の下でジョギングやテニスやサーフィンを楽しむカリフォルニアの若者たちのイメージが、「スポーツ」という言葉の裏側にはあったような気がします。

初心者も上級者も関係なく、一緒に汗を流して、協力したり、練習したり、しんどい時間もあるけれど、いいプレーができたらやっぱり楽しくて、めちゃくちゃ疲れるけど、またやりたくなる。そう考えると、やっぱり雑誌作りはスポーツなのかもしれません。

(本誌担当編集)柳澤耕平