カルチャー

米アカデミー賞の結果に関係なく観るべき3作。

3月はこんな映画を観ようかな。

2026年3月2日

『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』
ジョシュ・サフディ(監)

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 我らがジョシュ・サフディによる久しぶりの単独監督作は、卓球選手として”てっぺん”を目指す自分勝手なユダヤ男が、それゆえにどんどん”下”に落ちていく姿を、ものすごいハイテンションで描く。その意味で、弟ベニーとの共同監督作『アンカット・ダイヤモンド』と似てなくもないが、本作では舞台を第二次世界大戦後に据え、その『アンカット・ダイヤモンド』をグチャグチャに丸めてピンポン玉にし、世界地図を貼った卓球台の上で高速で打ち合うかのごとき、スケール感&疾走感。お見事! 3月13日より全国公開。

『しあわせな選択』
パク・チャヌク(監)

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 リストラされた製紙会社のベテランが、別の製紙会社に再就職をすべく同業種の”ペーパーカンパニー”を立ち上げて求人を募り、ライバルになりそうな奴らを一掃する”生死”を賭けた作戦に打って出る、ブラックユーモア満載のサスペンス。ただし、『ワン・バトル・アフター・アナザー』にせよ『ブゴニア』にせよ、「企業の親玉=敵と見做しておけばオッケーっしょ」というある種の楽観主義に貫かれていた一方、こちらは自分と同じレベルの労働者を敵視している点に、より辛辣なリアリティを感じた。3月6日より全国公開。

『そして彼女たちは』
ジャン=ピエール・リュック・ダルデンヌ(監)

ⓒLes Films du Fleuve – Archipel 35 – The Reunion – France 2 Cinéma – Be Tv & Orange – Proximus – RTBF (Télévision belge) / PhotoⓒChristine Plenus

 幼い妊婦たちの支援施設を舞台に、共同生活を送る5人の少女たちの物語を描く、社会派のダルデンヌ兄弟らしい一作だ。それにしても、コーエン、ファレリー、ウォシャウスキーに続き、サフディすらも兄弟姉妹による共同監督スタイルを解消してしまった今、70代を過ぎてもコンビを続けているダルデンヌ兄弟はかなり希少。本作の少女たちに注がれる、彼らの眼差しのやさしさが、二人がコンビを解消せずにいられる秘訣なのかもしれない。3月27日より全国順次公開。