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習うより慣れてみる。いざというときのための学びを『本所防災館』で。

東京五十音散策 錦糸町①

2024年5月10日

photo: Hiroshi Nakamura
text: Ryoma Uchida
edit: Toromatsu

東京都内の駅名を「あ」から五十音順に選出し、その駅の気になる店やスポットなどを
ぶらりと周っていく連載企画「東京五十音散策」。「き」は錦糸町。

 墨田区の南側のエリアはその昔「本所区」があった場所だ。両国や錦糸町駅周辺の住所名や、警察署、消防署の名前などを見ると、現在でもその名残がある。

 錦糸町駅から徒歩10分の『本所消防署』、隣接して建てられている『本所防災館』もそのひとつ。ここは、防災にまつわるあらゆることを体験しながら学ぶことができる場だ。

 館内はすべて無料。ゲームや展示から学べる「自由見学コーナー」と、水害や火災や地震、AEDの使い方などを体を使って学ぶ「体験コーナー」が4フロアに渡って構成されている。水圧で開けられないドアの重さを体感する「都市型水害体験」では、そのドアの重さに驚いたし、たった30cmの水量で、車から出られなくなることを知った。「消火体験」では、消火器の扱い方を意外にも知らないことを痛感。「地震体験」では、震度7の恐ろしさを身をもって感じた。また、VRを活用した疑似体験コーナー「VR防災体験」や今年の春に新設された「救出救助コーナー」など、1995年の開館以来、設備をアップデートし続けている。

「自分で経験してみないと分からないことは必ずありますし、どんなことも実際にやるのとやらないのとでは大きく違ってきます。見聞きしてもなかなか覚えられないこともあると思いますが、自ら体験することで、楽しみながら身をもって学べることを目指しています。」と館の担当者はいう。

 本所は関東大震災や東京大空襲で甚大な被害を被ったエリアのひとつだ。そして、荒川と隅田川に挟まれた「ゼロメートル地帯」でもあるからこそ、防災への意識が育まれてきたのかもしれない。この施設での体験は、ただ楽しいだけじゃなく緊張感がある。自然災害はいつかまた起きてしまうかもしれないけれど、いざというときのために「自分ごと」として訪れてみてほしい。

「消火体験」では消火器の使い方にあたふた。大声で周りに火事を知らせるのも大事だ。

「応急手当体験」ではAEDの使い方など、人が倒れていたときにどうするかを体験できる。

地震が起きたら、「ダンゴムシ」の形で身を守る!

このひと工夫が身を守るのだ。

インフォメーション

習うより慣れてみる。いざというときのための学びを『本所防災館』で。

本所防災館

6階建て、ピラミッド型の屋根にロケットが貫入したような不思議な形の建築だが、これは「災害に立ち向かう要塞」を表現しているのだそう。例年はGWの時期や夏や冬にイベントを開催している。夏場は真っ暗な館内で防災体験をする「ナイトツアー」イベントも用意。ちなみに、まだこうした体験をするのが難しい小さな子どもに向けたキッズスペースも用意してあるので、家族でも安心して利用できる。実際の利用客は老若男女幅広く、最近では、自国での防災対策に活かしたいと、海外からのお客さんも来るのだとか。

○東京都墨田区横川4-6-6 9:00〜17:00 水曜・第3木曜(祝日の場合直後の平日)・年末年始休

Official Website
https://tokyo-bskan.jp/bskan/honjo/