ファッション

刺繍やプリントの入ったひとひねりある古着がほしくなったら、まず向かいたい『marfa』。

東京五十音散策 恵比寿②

2024年4月30日

photo: Hiroshi Nakamura
text: Eri Machida
edit: Toromatsu

東京都内の駅名を「あ」から五十音順に選出し、その駅の気になる店やスポットなどを
ぶらりと周っていく連載企画「東京五十音散策」。「え」は恵比寿。

 ガラス張りのお店を外から覗くと、ピンズがたくさんついたトルソーや、ひとつひとつ違うボタンが100個ほどあしらわれたシャツ、ワッペンがこれでもかとついたフリンジベストなど個性豊かなアイテムが見える。古着屋のようだけれど、外から見ただけでは店名も価格帯もわからなくて、ドキドキしながら店内へ。

 入店してみるとわかるのが商品の幅広さ。古着の他にもペイントや刺繍が施されたアイテムが多く、シンプルなスウェットやロンTなどはオリジナルで作り、メキシコの雑貨やインドのアクセサリー、お皿まで揃う。ここ『marfa』は、「古着屋」と一括りにできない自由な形態が持ち味のようだ。

 ペイントの入ったアイテムは、年に4回ほど行くアメリカで買い付け、その地域ごとに違うペインターに依頼し、ハンドドローイングで絵を描いてもらっているという。ヴィンテージのメモリアルパンツやメモリアルジャケットのようなアイテムは価格が高騰しているが、ここでは古着に後からペイントしているから手が届きやすく、毎回同じ人が書くわけではないからデザインもさまざまで、入荷のたびに新鮮さがある。

 お店を営むご夫婦の、古着だけでなく現行のアイテムを組み合わせた、自分の好きが詰まった装いもこのお店を象徴するようで魅力的。ハイソな店が多い恵比寿にありながら、価格も高すぎず、スウェットなら5000円くらいから購入できて手が届きやすいのも良いし、それでいて土地柄も相まって品の良いアイテムが揃っているのも特筆したいところ。アクセントになるアイテムを探したいときにまず寄りたい場所に出会えて散策がまた楽しくなった。

1950年代から70年代にかけて制作されていたハンドメイドバスケット「カロナンバスケット」のようなデザインの〈L.L.Bean〉のトートバッグ。

ヨーロッパで仕入れたピンズは300円から。

ハンドドローイングで一点もの。どんな風にできあがっているかはお店に届いてからのお楽しみ。

インディアンジュエリーは、ズニ族やナバホ族などの居住区へ出向き買い付けている。

70年代のボーイスカウトのワッペンが裏にもたくさん!

インフォメーション

刺繍やプリントの入ったひとひねりある古着がほしくなったら、まず向かいたい『marfa』。

marfa

2016年にオープン。アートインスタレーションが有名なテキサス州の「マーファ」という町が店名の由来。古着が半分、セレクトが25%、オリジナルが25%のバランスで、ユニセックスのアイテムがほとんど。年に10回ほど買い付けに海外へ行っており、アメリカだけでなく、メキシコやインドで雑貨を仕入れ、韓国でオリジナルアイテムを生産することも多い。オンラインショップはないから、実際に足を運んでみよう。

○東京都渋谷区恵比寿西2-2-8 13:00〜18:00 不定休

Instagram
https://www.instagram.com/marfa.2016/