フード

四谷三丁目にオープンした『新楽記』で味わう香港人の「魂の食事」。

2025年2月2日

photo: Naoto Date
text: Eri Machida

焼味拼盘(焼きもの5種類盛り合わせ) 2人前¥4,000 素揚げした根が香ばしい香菜沙律(パクチーサラダ)¥2,000 グラスワイン¥1,000〜 

 旅先で美味しいものを食べたいと思ったときは、地元の人やその土地に詳しい人からおすすめを聞くのが定石だ。

 1月にオープンした『新楽記』は、90年代に年間100日以上香港に滞在し、屋台から一流ホテルまで食べ歩き、その情熱を詰め込んだ『超級食香港』を出版したカメラマン菊地和男さんがプロデュースしている香港料理店。

 香港の真髄を知りたければまずは鶏レバーと豚の背脂と肩ロースを重ねて焼いた金銭鶏、皮付きチャーシュー、豚トロ、鴨が少しずつ味わえる名物の焼味盛り合わせを。温度や焼き時間をそれぞれ変えながら本場同様に明炉で焼き上げており、金銭鶏はしっとり、ローストダックは香ばしく、それぞれの特性を際立たせて調理しているのが食べた瞬間に伝わってくる。

「香港の魂の食事を集めました」と菊地さんが語るように、家庭料理、屋台料理、特別な日に食べる宴会料理が揃い、豊かな食文化が一度に体感できる。咸魚雞粒炒飯(ハムイーチャーハン)や滷水牛肚豆腐(ハチノスと豆腐のルースイ煮)など日本語の説明を読んでも味の想像がつかないメニューはどれも菊地さんが選りすぐった香港料理だ。

 ローカル以上に現地を知り尽くしている人が作っているから旅先で美味しいものだけをガイドしてもらった感覚になる。未知の味を知る高揚感と何を食べても美味しい安心感が同居していて、一挙両得に濃密な食体験ができるレストランだった。

長崎で今朝採れたばかりのオオモンハタの姿蒸し(2日前までに要予約)。ねぎと生姜を下に敷いて蒸したハタは身がふわふわ。熱々のピーナツオイルとたまり醤油で味付けしておりシンプルで優しい味。4,5人で分けるのがおすすめ。タイ米によく合うからぜひ一緒に注文してほしい。時価で¥8,000〜¥15,000(600g〜1kg)

奥の明炉で焼いたチャーシューや鴨が吊るされている。

席からは厨房の様子がよく見える。

香港で『楽茶軒』という茶屋を営み書家としても活動するイップさんがお店のために書いてくれた作品を元に作ったネオン。店名の「楽記」は楽しい店、儒教の経典である『礼記』の内の音楽の古典を意味する。

インフォメーション

四谷三丁目にオープンした『新楽記』で味わう香港人の「魂の食事」。

新楽記

2025年1月15日オープン。常時10本ほど開いているワインと合わせて楽しめるのが特徴。菊地さんが97年に出版した『超級食香港』にもワインとペアリングした香港料理が掲載されていた。今後は土日のみ昼営業も予定している。

○東京都新宿区若葉2-7-1 1F ☎︎03・6380・0423 18:00〜22:30 (L.O) 不定休

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