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両国『徳武』で復活した師匠の味、山盛りのかいわれが主役級に輝く汁なし辣醤麺。

7月はこんなお店に行ってきた。

2024年7月29日

photo: Kazuharu Igarashi
text: Eri Machida

ニューオープンやリニューアルしたお店、新メニューが出た老舗や最近やたらと友達が行っている店など、なにかと気になる飲食店を毎月紹介する連載。

汁なし辣醤麺¥1,300 スープ付き。足立区の保木間にある製麺所『享屋』の細麺を使用。香港麺のようなプリッとした食感。

家で作ろうと試みたことは何度かあるけれど辿り着けない、閉店してしまった店の幻の味。そんな再現不可能な料理として真っ先に頭に浮かんだのは、昨年10月に惜しまれつつ43年の幕を閉じた錦糸町『中国酒家 大三元』の辣醤麺だ。しかし、4月末にオープンした両国の『徳武』で復活をしたというニュースが舞い込んできた。

『徳武』は、『大三元』で27年修行した徳武信哉さんが店主を務める中華料理店。待ち望んでいた味が食べられるとすでに大人気で、昼どきは開店前から並ぶお客さんも。

 どっさり盛られたかいわれ大根と白髪ねぎがインパクト大の汁なし辣醤麺は、『大三元』時代から一番多く注文されるメニュー。生姜、にんにく、豆板醤で香りを出し、下味をつけた豚と牛のひき肉、茹でたての細麺を中華鍋で炒め合わせたらあっという間に完成。甘辛い味付けで食べ進めていると徐々に山椒が効いてくるギャップが癖になって箸が止まらない。正直「多すぎない?」と最初は怯んだトッピングの量だったが、痺れる山椒を落ち着けてくれるかいわれがあってこそ成立する一皿だった。

 高校3年生のときに働き始めたお店の師匠へのリスペクトを忘れず、口酸っぱく言われていた鶏ガラを茹できちんとスープをとることを守り、定休日は朝から仕込みを行うなど、1つ1つの作業が丁寧で、さっと作っていても真心を感じる。汁なし辣醤麺は必ず食べてほしいが、夏限定で『大三元』の隠れ人気メニュー「ザージャン麺」も復活しているから今すぐ足を運んでみてほしい。

徳武さんは小学生の頃から家族で『大三元』に通い、高校3年生のときに友だちが働いていることを知ってホールのアルバイトを始め、卒業後すぐ厨房も任せられるようになった。

清潔な店内で昼も夜も本格的な食事が楽しめる。店内は22席で、ディナータイムと休日のランチタイムは予約可能。

インフォメーション

両国『徳武』で復活した師匠の味、山盛りのかいわれが主役級に輝く汁なし辣醤麺。

徳武

2024年4月23日オープン。辣醤麺には汁ありバージョンも。味付けは異なり、甜麺醤を使った酸味が効いたじんわり辛いスープで、こちらにも根強いファンが多数。

○東京都墨田区亀沢3-3-9 ダイアパレス錦糸町第2 1F  ☎︎03・6381・3557 11:30〜14:00(L.O)、17:00〜21:00(L.O) 月休、月に2度火曜休みもある。

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