ファッション

レイトンブルーを生み出した、F1レーシングチームの86年モデル。Vol.18

オールドDCスタジャンクラブ

2024年3月12日

オールドDCスタジャンクラブ


photo: Wataru Kitao
text: Fuya Uto
edit: Shugo Okamune

 テレビディレクター岡宗秀吾さんの一声で生まれた、’80年代DCブランドブーム期に作られたスタジャンを掘り下げていく、オールドDCスタジャンクラブ。第18回は、学生の頃にDCスタジャンを愛用していた総合格闘家の宇野薫(うの・かおる)さんを特別ゲストに迎え、宇野さんが“救出”した〈レイトンハウス〉を一緒に掘り下げてみた!

宇野さんがブックオフで4,000円で発掘。アタリや汚れがひとつもないほぼデッドストック状態。

 新進気鋭の企業がこぞってF1チームをスポンサードしたバブル期において、’86年に不動産会社「丸晶興産」の社長・赤城明さんが立ち上げたレーシングチーム〈レイトンハウス〉。後に世界最高峰のマシンレース・F1に進出を果たした成績のみ取り上げられがちだけど、モータースポーツを盛り上げようと生まれた同社のアパレル部門も忘れてはならない。

 スタジャンはもちろん、〈マールボロ〉のワッペンが付いたメカニックシャツやオリジナルドリンクなど幅広く展開し、どれも爆発的な人気を誇っていた。そのなかでも特筆したいのが今回発掘した’86年の初期モデル。「レイトンブルー」と呼ばれるオリジナルカラーが最大の特徴で、’80sを代表する名車ホンダ・シティ・カブリオレに採用されていたマイアミブルーがベースになっているという説がある。マシンやスタッフのワークウェアまでほぼ全てレイトンブルーで統一されており、バブル期のモータースポーツシーンを象徴する色であり、今もなおラブコールが絶えないと、関係者の方が教えてくれた。カラバリを増やした方が売り上げ的にはよいはずなのに、ブレないスタイルを貫いた当時の姿勢がうかがえる。

大胆なデザインかと思いきや、ロゴが刻印されたオリジナルボタンなど細部にもこだわりが。

 ちなみにこのキャラクターが描かれたロゴは初期の証。黒人奴隷を想起するとして現代ではあり得ないのはもちろんだが、発売翌年の’87年でもすぐに問題視され、イラストが撤廃され文字のみに変更された。つまり、初年度しか製造されていない〈レイトンハウス〉史上最もクラシックなスタジャンなのだ。リーバイスでいうところの「1st.」的存在なのに、まだまだ掘られていないのも探究心がくすぐられる!

 今回はDCブランドブーム期をリアルに知る宇野さんと岡宗隊長の体験談を交えながら、編集部のミヤモトとノムラ、ライターのフウヤの計5人で考察してみました。恒例の試着シーンもチェックしてみてください!

#018

レイトンブルーを生み出した、F1レーシングチームの86年モデル。Vol.18

LEYTON HOUSE「1986s レイトンブルー1st.モデル」

アイルトン・セナの活躍によって日本でも空前の F1ブームだった頃に生まれた超新星。レーシングが主軸だったのもあり、著名なデザイナーではなく社内で企画しデザインされたものだと推測。他カラーはナシ。また、バブル崩壊とともに倒産した丸晶興産だが、現在は三誠商事がライセンスを持ち活動。主にスポーツウェアやシューズ類の製造・販売を行っている。