ファッション

アメカジブーム期に一石を投じた〈ニコルクラブフォーメン〉のヨーロッパ風ワッペン。Vol.17

オールドDCスタジャンクラブ

2024年2月6日

 テレビディレクター岡宗秀吾さんの一声で生まれた、’80年代DCブランドブーム期に作られたスタジャンを掘り下げていく、オールドDCスタジャンクラブ。第17回は、〈ニコルクラブフォーメン〉が初登場!

〈ニコルクラブフォーメン〉のスタジャン
メルカリで8,900円で入手。レザー部分に割れやヒビがほぼないのを見ると、素材の質の良さもこだわったことがわかる。

 前々回にも登場したDCブランド界の憧れ的存在〈ニコル〉から、1984年に新たなメンズラインとして立ち上げられた〈ニコルクラブフォーメン〉。主にミリタリーやスポーツウェアなど無骨な古着からデザインを反映した型が多いなか、今回ピックアップしたのは「レディースのボーイズ版」という、意味がわかるようなわからないようなユニークなコンセプトの一着。

 ’80年代後半にリリースしたこちらは、カフェオレのようなまろやかなカラーリングに加え、広幅のステッチワークで仕立てられたファンタジー要素が強いデザインだ。広報の方によると、当時、レディースモノをメンズウェアとして打ち出すハードルが高かった反面、レディースをファッションに取り入れるおしゃれなメンズというマニアックなファンに向けていたため、仲間内でイチオシのモデルだったと判明した。

よーく見ると、ただのラインリブではなく編地に段差をつけている。

 散りばめられた大量のワッペンもタータンチェック柄、英国風騎士がモチーフの刺繍、クランマークなどヨーロピアンな雰囲気を纏っている。時代の主流だったアメカジに対し、新しい文化を取り入れようとする動きが垣間見える。手掛けたのは同ラインで初代チーフデザイナーを務めた佐々木一視(ささき・かずみ)さんで、実は右袖に縫い付けられた犬のワッペンは飼っていた愛犬がモデル。前衛的な姿勢を持ちながら、さらっと身近な環境をデザインに落とし込むバランス感覚にセンスを感じる!

 今回も岡宗隊長を筆頭に、バイリンガルなレイコ、編集部のミヤモトとノムラ、ライターのフウヤの計5人でワイワイ考察してみました。恒例のレター翻訳や試着シーンもチェックしてみてください!

つづく。

#016

〈ニコルクラブフォーメン〉のスタジャン

NICOLE CLUB FOR MEN「1980sヨーロピアンモデル」

ワッペンから付属類まで、自社オリジナルで仕立てられた自信作。当時の販売価格は5万円ほどで、レーベル内でも特に高級なモデルだった。ボディ部がブラック、アイボリーの計3タイプを展開していた。