ファッション

金属細工が光る〈バツ〉 の3D刺繍。 Vol.13

オールドDCスタジャンクラブ

2023年9月6日

text: Fuya Uto
edit: Shugo Okamune

 テレビディレクター岡宗秀吾さんの一声で生まれた、’80年代DCブランドブーム期に作られたスタジャンを掘り下げていく、オールドDCスタジャンクラブ。第13回は、ブームの火付け役となったブランド〈バツ〉が登場!

メンズバツのスタジャン
デッドストック並みの状態のよさなのにヤフオクで9,800円。

 世界的なポスター収集家の顔を持つ、デザイナーの松本瑠樹さんが手掛け、1971年にメンズブランドとして誕生した〈バツ〉。そんな〈バツ〉のスタジャンと言えば、“男を装う時代”というコンセプトの通り、シックなモノトーンアイテムが多いが、今回掘り出したのは、バブル期のイケイケ感が漂うド派手な1着! 幅広いバリエーションからも当時の勢いを察することができる。

 まず、目に入ってくるのはこれぞ3D! というべき、王族の紋章並みに豪華絢爛なワッペン。多彩で細かい刺繍だけでも手数の多さに驚くが、その上に金のモールエンブレム。加えてベースカラーまで鮮やかな群青色だし、リブまで独特な色味を3色使い。バブル時代ならではの攻めたカラーリングの波状攻撃だ。意図や背景が気になり、当時を知る息子さんや関係者にアタックするも「詳細不明」。これだけ手のかかったスタジャンは希少モデルだったことは間違いない!

左胸には“心臓がバクバクしている”というメッセージ付き。意味を知って羽織ったら、勝手に「俺は燃えてるぜ!」というマインドになってしまいそう。

 今回も岡宗隊長を筆頭に、バイリンガルなレイコ、編集部のミヤモトとノムラ、ライターのフウヤの計5人でワイワイ考察してみました。恒例のレター翻訳や試着シーンもチェックしてみてください!

ハイセンスなこいつを着こなせるようになりたい(隊員・フウヤ)

つづく。

#012

BA-TSU「3D刺繍・クラウンモデル」

店頭に並ぶ商品のみならず、深作欣二監督の映画「バトルロワイヤル」の衣装を手掛けるなど、長くに渡ってニッポンのカルチャーシーンを牽引してきた〈バツ〉。松本さんが逝去してからは〈クラウン・クリエイティブ〉がライセンスを持ち展開。同デザインでボディが黒や白のモデルもあるが、全貌はベールに包まれたまま。