ファッション

細部で語る〈ビバユー〉のオールブラック。Vol.12

オールドDCスタジャンクラブ

2023年8月6日

text: Fuya Uto
edit: Shugo Okamune

 テレビディレクター岡宗秀吾さんの一声で生まれた、’80年代DCブランドブーム期に作られたスタジャンを掘り下げていく、オールドDCスタジャンクラブ。第12回は、20代を中心とした女性に絶大な人気を博していたブランド〈ビバユー〉が満を辞して登場。

メルカリで8,000円で入手。メルトンウールやレザーの使用感がほぼ見られないミントコンディション。

 1977年に〈サンエー・インターナショナル〉からレディースブランドとして誕生した〈ビバユー〉。’80年代のDCブランドを象徴する顔役だっただけに、メッセージ性の強いものからキャラクターものまで数多く名品を生み出してきた。しかし、こちらはどこにも属さないシックな逸品。手掛けたのは同ブランドでチーフデザイナーを務めた中野裕通さんで、当時のエリアマネージャーによると、小泉今日子が歌番組やCM等で着用していたこともあり、どの店舗も完売が続いていた’84年頃のモデル。さらに、店舗に並ぶ点数自体も1〜2点ずつと少量のため、相当入手しにくかったスタジャンだとわかった。

 DCスタジャンの真骨頂、バルーンのように膨らみながらも裾はキュッと絞れている着丈の短いつくり。しかし、じっくり見てみるとリブがV字型に切り込まれているというミリタリーテイストな特徴が。

 ’50年代〜’70年代までアメリカ海軍で採用されていた「WEP ジャケット」(G-8、ゴンズジャケットとも呼ばれる)からインスパイアを受けたと推測できる。袖の付け根に折られたアクションプリーツも全12回のクラブ活動で初めて目にするディティールで、思い思いのシニールワッペンやレターが施された“盛る”とは真逆のストイックなデザイン。引き算の美学を実践する姿勢にセンスを感じる!

時代を感じさせる、胸の立体的なキースヘリング調のエンブレム。

 ということで、今回も岡宗隊長を筆頭に、バイリンガルなレイコ、編集部のミヤモトとノムラ、ライターのフウヤの計5人でワイワイ考察してみました。是非動画もチェックしてみてください!

つづく。

#011

VIVAYOU「1984sオールブラック ミリタリーモデル」

ブランドコンセプトの“ROCK、CUTE、SEXY”像に当てはまるメンズライクな1着。当時の販売価格は39,800円。ほかにも、黒×モスグリーン、黒×赤、茶×ベージュの計4タイプを展開していた。