ファッション

想像膨らむ〈アバハウス〉のウエスタンモデル。 Vol.14

オールドDCスタジャンクラブ

2023年10月6日

text: Fuya Uto
edit: Shugo Okamune

 テレビディレクター岡宗秀吾さんの一声で生まれた、’80年代DCブランドブーム期に作られたスタジャンを掘り下げていく、オールドDCスタジャンクラブ。第14回は、Vol.7で登場して以来「まだまだ掘りがいがあるぞ」と、目を光らせていた〈アバハウス〉の別モデル!

〈アバハウス〉のスタジャン
〈アバハウス〉のスタジャン
上質なレザーがクタっと柔らかくなっている状態を楽しめるのもオールドDCスタジャンの醍醐味。メルカリで8,900円。

 1978年にスタートを切った〈アバハウス〉は、定番のベースボールモデルからヨーロピアンテイストのデザインまで、シーズンごとにモチーフを変えて名作を作り続けている現役のブランドだ。ゆえに数多くのユーズドスタジャンが各地に眠っているようだが今回救出したのは、米国中西部の情景がこれでもか! と立ち上る一枚。

 当時の生産管理者によると、DCブーム期ど真ん中の’87〜’88年に製造されたウエスタンモデルで、店頭に出すと同時に売れるほど人気を博したそう。同時期にトニーラマのウエスタンブーツやゴローズのジュエリーが流行っていたことを考えれば、的確に時代の波をキャッチとしたと言える。

〈アバハウス〉のスタジャン
〈アバハウス〉のスタジャン
ウエスタンブーツが主役のバックデザインは、素材が“リアル革”だから経年変化が実際のブーツのようでリアル。

 一見するとモデル名のイメージ通りに解釈してしまいそうになるが、よく観察すると、フロント部や袖にはネイティブアメリカンの紋様らしきトライバルな刺繍が。複雑な事情があった文化を1着にまとめてしまうという現代のコンプラ事情では難しいデザインもこの時代ならでは。そう考えると、ここまでムードが詰まったアウターはそうそうない。

〈アバハウス〉のスタジャン
〈アバハウス〉のスタジャン
裏地は上質なナイロンキルト。

 今回も岡宗隊長を筆頭に、バイリンガルなレイコ、編集部のミヤモトとノムラ、ライターのフウヤの計5人でワイワイ考察してみました。恒例のレター翻訳や試着シーンもチェックしてみてください!

つづく。

#013

〈アバハウス〉のスタジャン

ABAHOUSE「1987〜88s ウエスタンモデル」

およそ半世紀、トレンディな服作りを続ける〈アバハウス〉の逸品。リブ袖の切り返し(ニット×革)など凝ったディティールに機能性を考慮した造りのよさを感じる。人気だったこともあり残っている枚数は比較的多めで、ボディ部分がモスグリーン、ブラックの別ラインも確認できた。