カルチャー
寒いんだか暖かいんだかわからなくて心が乱れる日に観たい3作。
4月はこんな映画を観ようかな。
2025年4月1日
text: Keisuke Kagiwada
『HERE 時を越えて』
ロバート・ゼメキス(監)
ものすごい映画だ。なんせ今はアメリカ合衆国として知られる土地において代々営まれてきた人々の暮らしが、ある一点を見据えるカメラを通して定点観測されるのだから。とりわけ重要なのは、1900年代初頭にそこに建てられた家であり、第二次世界大戦後にそこに住むことになるひとつの家族だ。彼らを中心に、ときに恐竜時代から現在までをダイナミックに行き来しながら、家(族)というものが歴史的に担ってきた役割とその変化が、悪い部分も含めて描かれる。アンディ・ウォーホルの『エンパイア』のスタイルでアメリカ史を語り切るかのごとき蛮勇に拍手を! 4月4日より公開。
『ウリリは黒魔術の夢をみた』
ティミー・ハーン(監)
フィリピン人映画監督、ティミー・ハーンの作品だ。フィリピンの監督といったらラヴ・ディアスが有名で、登場人物のバックボーンを通して同国をめぐる複雑な歴史を物語る姿勢には、共通点を見出せるかもしれない。しかし、ディアスが今や孤高の芸術家道を邁進するのに対し、こちらに感じられるのは、エド・ウッドなんかを彷彿とさせるいい意味でチープかつお茶目なZ級映画精神の迸り。亡き母がかけた黒魔術によって、NBA選手として活躍すべく運命を背負ったフィリピン人とアメリカ人の血が流れる青年、マイケル・ジョーダン・ウリリが主人公って時点で、もう面白い。4月5日より公開。
『異端者の家』
スコット・ベック、ブライアン・ウッズ(監)
2人の若いモルモン教のシスターは、布教すべくある家のドアを叩く。その家に暮らす愛想のよい男性リードは、彼女たちの信仰する宗教に興味があるということで快く招き入れるのだが、ところがどっこい、話すほどにむしろリードは別の何かを信じているらしく、2人を監禁しちゃったから、さぁ大変。『ゲット・アウト』以降、ある種のトレンドをなす、「結局、普通っぽい人間が一番怖いよねー」という物語を通して、アメリカ社会に巣食う闇に肉薄する系ホラーに、宗教から切り込んだ意欲作。ほとんどリード演じるヒュー・グラントの独壇場というか、舞台劇さながらに台詞を語る姿には、惚れ惚れするしかない。4月25日より公開。
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