ファッション

〈ティソ〉とスペースエイジの話。

〈TISSOT〉SIDERAL

2023年12月2日

小旅行とパッキング。


photo: Tetsuo Kashiwada
illustration: Dean Aizawa
text: Koji Toyoda
2023年12月 920号初出

〈ティソ〉時計

 振り返ってみれば、〝スペースエイジ〟と呼ばれる’60~’70年代は、SF映画か! と突っ込みを入れたくなるほど、アバンギャルドなデザインに溢れた時代だった。映画『2001年宇宙の旅』に登場する「ジンチェア」に、ヴェルナー・パントンのプラスチック一体成型の「パントンチェア」やキドニーシェイプのグラスや灰皿。日本の家電メーカーも宇宙船の中にあったら、いかにもぴったりな流線形かつカラフルな家電製品を次々量産した。もちろん、時計業界も追従したのはいうまでもない。この頃のヴィンテージを掘ると、スペーシーシェイプな時計がザクザク出てくる。なかでも前衛的だったのが、スイス・ウォッチメーカーの巨人〈ティソ〉。いち早くプラケースに目を付けた1971年の「イデア2001」は、後の〈スウォッチ〉に繋がるものだし、1969年の「シデラル」シリーズは、軽くて、丈夫な最先端のグラスファイバーをケース素材に採用する英断っぷり。その後継機「シデラルS」は、抜群にポップなイエローケース&ストラップと、カラフルなレガッタカウントダウンゲージ(レガッタレース専用の目盛り)を文字盤に組み込み、当時のスペースエイジ合戦を制した。そんな伝説的なモデルが今年初めて復活したというグッドニュースは、SF映画を観るかのようにワクワク感がある。

BRAND STORY

〈ティソ〉ロゴ

スイス時計産業の聖地、ル・ロックルで、1853年に創業した〈ティソ〉。成型プラスチック機構を搭載した’71年の「イデア2001」や、岩や木、真珠を使った’80年代の異素材シリーズや、スマートウォッチの先駆け「T-タッチ」など、斬新な時計作りに定評がある。

インフォメーション

〈TISSOT〉SIDERAL

2023年版「シデラル」は、オリジナルを踏襲しながらも、41㎜のケース素材を最先端のフォージドカーボンに一新。80時間のロングパワーリザーブを叶える〈ETA〉の自動巻きムーブメントを搭載し、未来をさらに引き寄せた。¥148,500(ティソ☎03·6254·5321)