カルチャー

机の上のサイエンス。Vol.9

木の実

2022年2月10日

text & edit: Shogo Kawabata 
photo: Akira Yamaguchi
2022年3月 899号初出

その不思議な姿に秘められた生存戦略

 世界中から集められた「小林商会」の不思議な木の実たち。そのフォルムには次へと命をつないでいくための生存戦略が隠されている。例えば、「ライオンゴロシ」の異名を持つハルパゴフィツム・プロクムベンス(12)は、鋭い鉤爪で動物に引っかかり、親株から遠く離れたところまで運んでもらうのだ。実を体から取ろうとしたライオンが、誤って口に突き刺してしまい、物が食べられずに死んでしまった、という逸話から、その異名がついている。フラ・クレピタンス(9)の実は、成熟して乾燥すると実の組織が反り返って破裂し、中の種子が飛び出すようになっている。その威力はすさまじく、秒速70mの速さで数十メートル四方に撒き散らすことができるという。さらに、ハケア・プラティスペルマ(14)は、耐火性を備えた硬い殻を持ち、山火事の熱で実が開いて種子を飛ばす。他の競争相手がいなくなった場所で有利に成長していくための驚くべき戦略だ。

1. Eucalyptus erythrocorys

2. Jacaranda brasiliana

3. Eucalyptus macrocarpa

4. Proboscidea louisianic

5. Pseudotsuga japonica

6. Pinus pinea

7. Raphia vinifera (with shell)

8. Raphia vinifera

9. Hura crepitans

10. Calamus sp.

11. Telopea speciosissima

12. Harpagophytum procumbens

13. Ravenala madagascariensis

14. Hakea platysperma

15. Corymbia calophylla

16. Pseudotsuga menziesii

17. Gluta usitata

18. Quercus pachyloma

19. Quercus ithaburensis ssp. macrolepis

20. Quercus edithiae

21. Entada rheedii

22. Eucalyptus lehmannii

INFORMATION

乾燥標本は手軽に保管でき、壊れづらいものが多く、手元に置いて気軽に大自然の叡智を感じることができる。小林商会