カルチャー
五月病を華麗にスルーするために観たい3作。
5月はこんな映画を観ようかな。
2025年5月1日
text: Keisuke Kagiwada
『クィア/QUEER』
ルカ・グァダニーノ(監)
原作はウィリアム・バロウズの同名小説だ。ときにニルヴァーナの音楽を惜しげもなく響かせながら描かれるのは、バロウズと思しき中年男が、うら若い青年に翻弄されつつ、2人で飲んだくれたり、”テレパシー”ができるという噂の謎の薬草を探しに行ったりする姿。グァダニーノは、本作を通してもしやガス・ヴァン・サントと”テレバサイズ”したかったんじゃないかって妄想が膨らんだ。だってガスは、バロウズを自作にゲスト出演させ、カート・コバーンの人生を映画化し、そもそも『君の名前で僕を呼んで』を監督するはずだったんだから。それを念頭に置くと、いろいろ合点がいく作品だった。5月9日より公開。
『新世紀ロマンティクス』
ジャ・ジャンクー(監)
21世紀に突入して以後の中国の激動すぎる歩みが、ひと組の男女の十数年にわたる腐れ縁を通して綴られる。まだ2人が若かった頃、廃バスで繰り広げられるやりとりが忘れがたい。ドアから出て行こうとする女を男が引き戻すというアクションが、「ちょっと多くない?」って突っ込みたくなるほど繰り返されるのだ。しかし、それでもなお出て行く女の固い決意が、ラストの爽やかな疾走を準備していたのだと気づいた瞬間、涙が溢れた。テーマがテーマなので、Smile.dkの「バタフライ」(ダンスダンスレボリューションのやつね!)が流れるY2K映画の側面もある。5月9日より公開。
『サブスタンス』
コラリー・ファルジャ(監)
”サブスタンス”とは、劇中に登場する怪しい再生医療の名前で、施術すると自分の背中の皮を破り、意識の異なる若い自分が生まれるというもの。本作は加齢により仕事がなくなった元”美人女優”のエリザベスが、これに手を染めたことから幕を開ける、ポップでカラフルなボディホラーだ。エイジズム、ルッキズム、セクシズム……現代社会をめぐる問題が”増し増し”で投入された本作において、エリザベスはまさに二郎系アブラのような姿に変貌していく。そんな役を、実際のキャリアを通してこれらの問題と向き合わざるを得ず、節目ごとにいろんな意味で体当たりの演技に挑んできたデミ・ムーアが演じているんだから、ある種の感動を禁じ得ない。5月16日より公開。
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