ファッション
誰かと同じモノが好き、誰かと違うモノが好き、もしくはその間らへん?
モノのポッドキャスト「これDOW!?」

これDOW!?
cover design: Ken Kagami
narrator: Tomoe Miyake
photo: Hiroshi Nakamura
edit: Yu Kokubu
2025年3月12日

ニッチなブツから王道のブツまで、最近見つけた気になるアイテムを囲んで雑談中のポッドキャスト番組『これDOW!?』の新エピソードが公開! 今回は久しぶりの通常回で、コスプレのお話を。ハロウィン的な仮装ではなく、もう少し身近な、普段のファッションにおけるコスプレの話です。ちなみに、みんなはDOW? あのミュージシャンが着ている洋服、例えばそういったモノが欲しくなる派か、ならない派か、それともケースバイケースかな? タイトルの要約はそんな感じ。では、続きはポッドキャストにて。
※写真を眺めながらポッドキャストを聴いてみてね!

「POPEYE」(No.13/1977年8月25日号)の『Let’s Jog!』特集の扉ページにはジョガーのスタイルサンプル。

寄り。注目すべきは右から4番目の方の着こなし。

デニムでジョギング? の時点で結構新鮮な気もするが、トロ松さんはサイドシームの切り込みをコピーして日々ジョギング中。ちなみにトロ松さんは1970〜80年代に流行したアクティブなノリの洋服を常に取り入れていて、この手のアイテムは自身が運営する私設ミュージアム「さんかくなみ」にわんさかあり。お近くの方はぜひ!
Charさんがライブ中に被っていた「UCLA」のキャップもね。無数にある「UCLA」モチーフの中から、なるべく同型と思われる鍔が大きいタイプを大捜索。

ヨットさんというサーフィンの先輩が1970〜80年代によく着用していたことを知り「“当時指数”が高いのでは!?」と思いマネをしてみた眼鏡。こちらは〈Ray-Ban〉「VAGABOND」&〈EYEVAN〉「Ivy-Leaguers」シリーズ。

〈Sennheiser〉のヘッドホン『HD414』を入手したのは約20年前。きっかけは東西のサーファーディスコDJ。一人は六本木の「キサナドゥ」や「ナバーナ」で活躍していたATOMさん、もう一人はトロ松さんの師匠でもある「葡萄屋」や「POINT AFTER」で活躍していたKENTさん。

コスプレの関心はインテリアにも。『男の部屋』(講談社/1984年)というムック本に掲載されているアヒル型のフロアライトは、当時はそれなりに若者の定番アイテムだったそうで(本当?)。ちなみに電球の光量次第で頭部までちゃんと光ります。

1976年発売「POPEYE」創刊号より、霜降りグレーのスウェット上下に赤のジョガーパンツ。余談だけど後ろの脚立も幅広な感じがナイスなのでこれにもいつか出合いたい。

ニュアンスダケマネルスタイル。

〈45R〉のデザイナー・井上保美さんが着用していた〈DO!FAMILY〉のオーバーオールに憧れて。良かったら写真も載っている以下の記事と合わせてぜひ〜。https://andpremium.jp/article/what-are-mature-persons-made-of02/#swiper-3-slide-1

ここからはナビゲーターのコクブさん編。トロ松さんとは少し角度が異なり、過去に見たビジュアルをもとに感覚的なコスプレを楽しんでいて、例えばクレス・オルデンバーグの「ソフト・スカルプチュア」のイメージを拾ってブルーのB.D.シャツとブラウンのネクタイを私服に取り入れたり、ほとんど誰にも見破られないコスプレを(笑)。ただ、バレたときには話が盛り上がる。

アイテムと色合いに加え、スクエアカットのネクタイを着用している横尾忠則さんのスナップを思い出し……。

その2つのビジュアルから最終的にこちらを。コスプレは好きだけど、誰かとまったく同じモノにはむしろ萎えちゃうコクブさんらしいバランス感覚。
ニュアンスコスプレはまだまだあって、Robert Wyatt『Dondestan』からはアルフィーの色使いを参考に、ここからイメージを膨らませてエンジョイ。

『Leap Before You Look: Black Mountain College 1933–1957』より柳宗悦、雑誌『Skug 』よりPeter Brötzmann、『阿佐田哲也 雀聖追悼特集 (近代麻雀オリジナル 5月31日増刊号)』

セットアップを探している中で、左の画像(GIF)や下の写真群の他、あらゆる映像作品などの記憶から1960年代のヘリンボーンのスーツに着地。1933〜57年にあった『ブラック・マウンテン・カレッジ』の講師や生徒の着こなし、阿佐田哲也のサイズバランス、ペーター・ブロッツマンの佇まい、マイケル・クレバーの洗練度、コリン・デ・ランドの素敵な悪ふざけ……etc
着丈の長いジャケットをキーワードに、こんなビュジュアルが大量に。Michael Krebber『Catalogue Raisonné Vol.1』、Colin de Land『American Fine Arts』、The Jayhawks『The Best Of The Jayhawks』
長谷邦夫『少年マネジン』、Gary Panter『Picture Box』。漫画家が描く和柄から着想を得て近い雰囲気の1950年代のテーラードジャケットを着用。

この時代の映画や本によく登場する1950年代頃のリブのタンクトップ。ギンズバーグも似合ってるね。

ちょっと別軸だけど役を演じている俳優ものってある意味……。こちらはエド・ウッドに変身中のジョニー・デップ。

32分56秒頃〜。Various, John Zorn, Naked City『The John Zorn Radio Hour』(Nonesuch/1990)

『BLACK IVY』などでもフィーチャーされているシドニー・ポワチエ。わかりすいまとめ本もいいけど資料自体も好みのフォーマットで。
美術と衣服、もしご興味あれば。

シニアエディターの井出さんは1960年代にミュージシャンの間で流行したスクエアタイプのサングラスを持参。「ザ・バーズ」のロジャー・マッギンはこのタイプを頻繁に着用していたが、同じモノではない。限りなく近い、もしくは同じだと思われるのは「ビートルズ」の『ペニー・レイン』MVに登場。ジョン・レノンがポール・マッカートニーからサングラスを受け取る印象的なシーンだ。

The Byrds『Turn! Turn! Turn!』(Columbia/1965)。本当によくかけている。「バーズ」聴きたくなってくるなあ。

『Small Faces: The Young Mods’ Forgotten Story by Paolo Hewitt』。モッズの”フェイス”、スティーヴ・マリオットも同タイプをかけていた。クール!
再び戻ってトロ松さんは、神戸「ピアスポーツ」に飾ってあった(ような)ラガーシャツを最近買ったそうで。通称“いってこい”と呼ばれる襟もとがユニーク。
出演者のプロフィール
プロフィール
コクブユウ
POPEYE Webクリエイティブディレクター。本番組のナビゲーター。「最近編集を担当した書籍『はじめの自炊帳』(著・土井光/マガジンハウス)が現在予約受付中なのでぜひ手に取っていただけたら嬉しいです。3月31日発売です。」
井出幸亮
いで・こうすけ|1975年、大阪府生まれ。編集者。POPEYE Webシニアエディター。古今東西のアーツ&クラフツを扱う雑誌『Subsequence』(cubism inc.)編集長でもある。本誌『POPEYE』(マガジンハウス)、『工芸青花』(新潮社)などさまざまな媒体で編集・執筆活動中。主な編集仕事に『ズームイン! 服』(坂口恭平著/マガジンハウス)、『ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと』(新潮社)、『細野観光 1969-2021 細野晴臣デビュー50周年記念展オフィシャルカタログ』(朝日新聞社)など。著書に『アラスカへ行きたい』(新潮社、石塚元太良との共著)がある。
トロピカル松村
とろぴかる・まつむら|1988年、兵庫県生まれ。編集者/ライター。ジーンズ&スポーツを掲げるブランド『CRT』のディレクター。著書に『ボクのニッポンサーフィンサウンド』がある。’70~’80年代のサーフィン&ファッション文化にまつわるものを揃えた私設ミュージアム『さんかくなみ』も営む。
番組概要

これDOW!?
POPEYE Webの記事を眺めながら聴く『これDOW!?』は、モノをきっかけに編集者らがエデュケーションしていく番組。街をぶらぶらして偶然見つけたモノや取材時に出合ったモノを考察してみたり、タイトル通り「これDOWなんだろう?」といった価値のよくわからないモノなどを囲んで雑談中です。ときにはゲストと一緒にモノを作ってみたりもね(更新は不定期です)。メインチャンネル『POP-EYE MEETING 編集会議』もよろしくお願いいたします。
📩 メールアドレス
popeyeweb@magazine.co.jp
POPEYE Web制作の他番組は以下より。
ピーター・バラカンのプロテスト・ソングあたりから始める政治の話。
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