カルチャー
めちゃくちゃな天気のときに映画館で観たい3作。
9月はこんな映画を観ようかな。
2024年9月1日
text: Keisuke Kagiwada
『Cloud クラウド』
黒沢清(監)
『蛇の道』『Chime』に続き、空前絶後の黒沢清イヤーを締めくくるのが本作。フィナーレに相応しく、主演は現在の邦画界を代表する菅田将暉くんだ。セコい転売ヤーとして生きる菅田くんやその周囲の不穏な人物たちが、互いに権謀術数を繰り広げ、ついには銃撃戦に(!)。 現代社会の闇を浮き彫りにしている部分もなくはないが、そんなことを考える暇も無くなるほど荒唐無稽な展開は、「現代日本において一般人が銃撃戦をするというはちゃめちゃな物語をいかにして成立させられるか?」「そんなことが気にならなくなるくらい荒唐無稽な話にすればいいのだ」と黒沢監督が考えた結果なんじゃないか。とにかく、素晴らしい。9月27日より公開。
『憐れみの3章』
ヨルゴス・ランティモス(監)
もうッ!? と驚くしかないランティモスの新作は、タイトルの通り3つの物語からなるオムニバス映画。エマ・ストーンをはじめとする何人かの同じ俳優陣が3章すべてに出演し、それぞれに居心地の悪さ満載の奇妙なエピソードで、別の役を演じている。とりわけ爆笑したのは、愛する妻が海難事故で行方不明になり、茫然自失となる第2章。親友夫婦と家で食事をしても気もそぞろな夫は、涙まじりに「あのビデオを見よう」と訴え、親友夫婦は「今はやめたほうが……」と軽くいなすのだが、当然美しい思い出を映した家族ビデオなのかと思いきや、なんと主人公夫婦と親友夫婦のス⚪︎ッピングビデオなのだ! その後の猟奇的な展開も含め、ランティモス、ようやるわ。9月27日より公開。
『SUPER HAPPY FOREVER』
五十嵐耕平(監)
2人の若い男、佐野と宮田が海辺のリゾートホテルを訪れる。佐野は5年前にこのホテルで出会い、結婚までした凪を、最近亡くしたらしい。その後、映画は時計の針を巻き戻し、佐野と凪と出会った、なんてことないけどかけがえのない1日に繊細な眼差しを注いだ後、また現在に戻ると、今度はホテルの従業員であるベトナム人女性へとフォーカスを移す。これら3つの時空を貫くのは、ひとつの赤いキャップだ。かつて佐野と凪の距離を近づけた、しかし今は行方知れずとなったこの赤いキャップの現在地がわかるとき、誰もが清々しい涙を浮かべるに違いない。9月27日より公開。
関連記事
カルチャー
PARAKEET CINEMA CLASS Vol.12/『蛇の道』(監督:黒沢清)
「柴咲コウにピントが合うのはいつなのか?」
2024年6月17日
カルチャー
PARAKEET CINEMA CLASS Vol.11/『悪は存在しない』(監督:濱口竜介)
「あの声の主は東出昌大なのか?」
2024年4月29日
カルチャー
おもしろい映画、知らない?/宇多丸
夫婦の倦怠期を描いた映画
2021年11月10日
カルチャー
おもしろい映画、知らない?/W.デーヴィッド・マークス
音楽が重要な役割を果たすコメディ映画
2021年11月20日
カルチャー
VHSでしか観られない映画ベスト10
2021年11月4日
カルチャー
PARAKEET CINEMA CLASS 特別編/『廣瀬純はどう生きてきたか?』
2024年1月29日
カルチャー
サンドイッチと映画
映画を見る片手間に食べられるから相性がいいなんて思ってほしくない。 この2つにはもっと人間の深い部分に関わっているんだから。
2021年4月20日
カルチャー
『ビデオマーケット』店長・涌井次郎が選ぶ、辺境のホラー。
2021年8月22日
カルチャー
a History of Horror Films ’80s(1/2)/文・平倉圭
クローネンバーグのヌチョヌチョした肉体。
2021年8月8日
カルチャー
a History of Horror Films ’80s(2/2)/文・平倉圭
クローネンバーグのヌチョヌチョした肉体。
2021年8月8日
カルチャー
a History of Horror Films ’60s(1/2)/文・碓井みちこ
ヒッチコックの恐怖演出。
2021年8月18日
カルチャー
a History of Horror Films ’60s(2/2)/文・碓井みちこ
2021年8月18日
カルチャー
a History of Horror Films ’60s(1/2)/文・福田安佐子
そぞろ歩くゾンビの夜明け。
2021年8月17日
カルチャー
a History of Horror Films ’60s(2/2)/文・福田安佐子
そぞろ歩くゾンビの夜明け。
2021年8月17日
カルチャー
エンドロールを眺めるだけの日々はこれで終わりにしよう。
2021年11月4日
ピックアップ
PROMOTION
〈ザ・ノース・フェイス〉のサーキュラーウールコレクション。
THE NORTH FACE
2024年10月25日
PROMOTION
〈バーバリー〉のアウターに息づく、クラシカルな気品と軽やかさ。
BURBERRY
2024年11月12日
PROMOTION
〈ハミルトン〉と映画のもっと深い話。
HAMILTON
2024年11月15日
PROMOTION
〈ナナミカ〉と迎えた、秋のはじまり。
2024年10月25日
PROMOTION
君たちは、〈Puma〉をどう着るか?
Puma
2024年10月25日
PROMOTION
人生を生き抜くヒントがある。北村一輝が選ぶ、”映画のおまかせ”。
TVer
2024年11月11日
PROMOTION
〈ティンバーランド〉の新作ブーツで、エスプレッソな冬のはじまり。
Timberland
2024年11月8日
PROMOTION
〈バレンシアガ〉と〈アンダーアーマー〉、増幅するイマジネーション。
BALENCIAGA
2024年11月12日
PROMOTION
介護がもっと身近になるケアギビングコラム。
介護の現場を知りたくて。Vol.3
2024年10月23日
PROMOTION
うん。確かにこれは着やすい〈TATRAS〉だ。
TATRAS
2024年11月12日