映画では、ひとつのシーン内での人物たちの画面内での左右関係を混乱させないため、イマジナリーラインというものを設定し、それを越えないようにしましょうという暗黙の了解がある。しかし、本作はそんなラインを涼しい顔で踏み越え、ひとつの空間で別々に親密圏を築いている者たちを自由に撮り、それぞれのショットをさらりと繋げてしまう。キッチンでダンスを踊るカップルと何食わぬ顔の猫、部屋で談話する母子とベランダで洗濯物を干す祖母……。繋げてしまえば繋がってしまうし、繋がってしまえば繋がっているように見えるんだから、繋げますよ、という具合だ。こうした空間把握能力が、本作のキモと言えるかもしれない。“ひとつの空間“は“世界“へと広がり、マドリードと日本で展開されるそれぞれに無関係の3つの物語が、国境を越えて大胆不敵に繋がれる。なるほど、国境とはイマジナリーラインでしかなかったのか。7月19日よりポレポレ東中野、8月よりシネ・ヌーヴォにて公開。
ムーンストラック・カルティベーション vol.2「『図案』の森に潜る 近代日本の視覚文化アーカイヴ逍遥」に行く。
POPEYE Webシニアエディターでもある編集者の井出幸亮さんが立ち上げたリアルイベントプロジェクト「Moonstruck Cultivation(ムーンストラック・カルティベーション)」。芸術/...
『パンク・ガーデニング宣言 エコロジカルで型破りな庭園論』を読む。
フランスの造園家エリック・ルノワールが提唱する「パンク・ガーデニング」は、人間本位で植物にとっては地獄でしかない「美しい庭」という考え方にまず反旗を翻す。そして、完璧な管理をあえて手放し、植物本来の...
『はいつくばって』を読む。
ミランダ・ジュライによる2冊目の長編小説だ。主人公はジュライ自身を彷彿とさせる45歳の女性アーティスト。とある小旅行をきっかけに、中年期特有の人生の悩みに振り回される彼女の姿が、夢みがちであるが故の...
『ルックバック』を観る。
藤本タツキによる同名漫画を実写化したのは、『箱の中の羊』の記憶も新しい是枝監督だ。二人の少女、藤野と京本がコンビを組んで漫画家を目指すその原作の物語を、是枝監督はかなり忠実に実写へと昇華させている。...
『オデュッセイア』を観る。
原作は古代ギリシャの吟遊詩人ホメロスの同名叙事詩だ。「トロイの木馬」作戦によってトロイア戦争に勝利したオデュッセウスたちが、妻と息子が待つ故郷イタケへの帰還を目指す10年に及ぶ果てしない旅路を、監督...