お菓子のパッケージだったり、映画の半券だったり、日常の中で気になった何気ないものをついコレクションしてしまうことがある。ひとつひとつがありふれたものだったとしても、数が集まれば貴重なアーカイブ資料になることも。収集が万単位ともなれば、その価値は計り知れない。本展で公開される民俗学者、宮本常一が全国から集めた9万点にも及ぶ蒐集は、重要であることはもちろん、研究を研究と思わない生活への純粋な興味が詰まった偏愛のコレクションなのだ。
1930年代から亡くなる1981年頃まで、日本各地を自らの足で赴き、延べ1200軒超にもわたる民家に宿泊しながらフィールドワークを進めた宮本。自身を「百姓」と称し、農繁期には地元である周防大島に戻って自ら稲作やみかんづくりに従事。“当事者”の視点から、明文化されていなかった渡り歩く先々の生活の様子を丁寧に紡ぎ出していき、現在のさまざまな大学研究の分野にも影響を与えた。特に、身近な素材を工夫し作られた民具の独特なフォルムやデザインを美術・デザインの視点から解釈したことは、当時の暮らしの中にある美しさを今に伝えるきかっけとなったのだ。とはいいつつも、まずはコレクションの素敵なデザインやフォルムをピュアに観察してみてほしい。丁寧に卵が包まれた藁の運搬用苞、ひょうたん形の魚籠、街のシンボルが力強く描かれた印凧。体温ほどの心地よい温もりや脈々と伝えられてきた文化のパワーが詰まった、チャーミングな手仕事の魅力が散りばめられているのだ。
インフォメーション
民具これなーんだ?——民俗学者・宮本常一が美術大学に遺した民具コレクション
会場:武蔵野美術大学美術館 展示室2・4、アトリウム1・2(東京都小平市小川町1-736)
会期:2026年6月15日(月)〜8月1日(土) ※7月12日(日)は特別開館
時間:10:00‒18:00 (土曜日、祝日は10:00‒17:00)
休み:日曜
料金:無料
Official Website
https://mauml.musabi.ac.jp/museum/events/23063/
「柳宗悦が出会った沖縄の美 琉球の民藝」が気になる。
鮮やかな紅型の衣裳、南国の光を映したような織物、大胆で力強い壺屋焼、暮らしと芸能が自然につながる独特の文化。そんな伝統が色濃く残る沖縄を「宝の山」と評した柳宗悦。1938年に初めて訪れて以来、生涯に...
「1978」展に行く。
写真をアートとして初めて日本に体系的に紹介した草分け的なギャラリー『ツァイト・フォト・サロン』(1978年、日本橋に開廊)。創設した故石原悦郎さんは、アンリ・カルティエ=ブレッソン、ブラッサイなど欧...
佐内正史展「佐内さん」が気になる。
雑誌『写真』Sha Shin Magazine vol.9刊行記念による、写真家・佐内正史さんの展示「佐内さん」が開催中! 佐内氏は1997年に写真集『生きている』で鮮烈なデビューを果たし、2003...
『撮影』を読む。
1995年生まれの写真家、竹久直樹による本作は、彼がライフワークとして撮り溜めてきた「展覧会の記録」を編纂した一冊。その撮影舞台は、一般的な美術館やギャラリーにとどまらず、野外や廃墟といった非日常的...
「へそ」が気になる。
人も物も情報もひしめく都会だからこそ、自分だけの“スポット”を見つけると、実家の部屋の角にあった子供のころの秘密基地のような特別さと安らぎを感じる。河川敷や橋の下など、そんな使われ方が定まりきらない...