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これまでの20年とこれからのこと。

BEAUTY&YOUTH

2026年6月18日

photo: Kazuharu Igarashi
illustration: Yoshifumi Takeda
text: POPEYE
2026年7月 951号初出

 UNITED ARROWSの創業は1989年。その3年後、デザイナーズやクラシコイタリアのセレクトが強い中で「UAらしいカジュアルな服をやろう!」と設立されたのがBLUE:LABEL。これが2006年に、BEAUTY&YOUTHとして独立した屋号になる。当時、現ディレクター(3代目)の藤橋享平さんは原宿店のスタッフ、前ディレクター(2代目)の松本真哉さんはバイヤーとしてその瞬間に立ち会っていた。BEAUTY&YOUTHの20年を見てきた二人の言葉に耳を傾けてみよう。

BEAUTY&YOUTHという言葉が指すもの。

藤橋 当時、松本さんは名前を決める現場からいましたもんね。

松本 そうそう。名前も社内公募だったんだよ。

藤橋 そうでしたね。

松本 でも、この「BEAUTY&YOUTH」っていう言葉は、以前から共通言語として社内にはあって。我々が持ってる大事な精神性をまとめた言葉っていう印象はついていた。誰が言い出したかは不明瞭なんだけど。

藤橋 フロントに「BEAUTY &」、バックに「& YOUTH」と書かれた1992年のこのTシャツ(上写真)は、BLUE:LABELでやっていた唯一のオリジナルプリントTなんですよね?

松本 そうそう。ずっとこのTシャツは作り続けていて、多分ラインナップから消えたのは数年だけだと思うんだよ。

藤橋 一言二言じゃ表せない含みの多い言葉ですよね。

松本 それがさ、山Pが街に溢れた英語を訳していくって番組が昔あったのよ。そこでたまたまBEAUTY&YOUTHの紙袋持った人を掴まえて、一発「美しき青春です」って訳したんだよ。その言葉に流れるシズル感、よかったんだよね。(山本)康一郎さんは、「若気の至り」っていう訳し方をよくしてたな。

BEAUTY&YOUTHは、弟キャラ。

藤橋 康一郎さん、「弟キャラ」ってちょこちょこ言ってましたよね。なんかガリ勉で真面目なお兄ちゃん(UA)がいて、そこに対して、柔軟でカジュアルなセンスを持った弟(B&Y)みたいな。

松本 兄は自分で買ってきた服を崩して着られないけど、弟はお下がりだから勝手に崩しちゃう。「そういう感じで行け!」みたいに。

藤橋 そうですね。お兄ちゃんはスーツに〈ヴァンズ〉は履かないけど、弟は崩していいポジション。

松本 でもそれって逆説的に言うと、やっぱり“長男ありきの次男坊ブランド”でもあるんですよ。

藤橋 そういう土壌があったから、綺麗な襟のついた服のカジュアルっていうふうにスムーズに繋がる。確かに。確かに。

スタイリストの山本康一郎さんがディレクションを手掛けたUNITED ARROWSのカタログ『styling edition』。これは1992年春夏シーズンのVol.3で、そのビジュアルとして「BEAUTY &」「& YOUTH」のTシャツが登場している。BEAUTY&YOUTHが誕生する14年前から社内で大切にされていた言葉だとわかる。

BEAUTY&YOUTHらしいスタイルとは?

藤橋 2006年ってどんなファッションだったか覚えていますか?

松本 マクロで言ったら間違いなくアメカジが来てて、そんな中、UAはクラシコイタリアのピチピチのスーツをやっていた。その時点では、カジュアルとドレスが越境することはなかった。でもB&Yができて、前任(初代ディレクターの足立二郎さん)が、「綺麗な襟のついた服のカジュアル」というコンセプチュアルな部分を固めてだんだんと、綺麗めなカジュアルというふうになっていった。「スーツに〈コンバース〉」みたいな感じで。世の中には、まだそんな格好の人はいなかった。

藤橋 足立さんはブランドの精神性や価値観を作っていた人という印象ですね。

松本 あとは「トレンチコートに〈ニューバランス〉」だよ。今は当たり前の格好になったけど、当時はいなかった。カジュアルでありたい心と、ちゃんとしていたい心が混在しているようなスタイリングはずっとあったんだろうね。

藤橋 僕から見ると、〈ティンバーランド〉のブーツを色っぽく履くのがB&Yの先輩たちでしたね。世間ではB-BOYみたいに履く中で、先輩たちは彼らと同じデニムにイエローブーツなんだけど、質の良さそうな綺麗なシャツを着たり、〈ジョンスメドレー〉のニットを着たりするんですよ。

BEAUTY&YOUTHのバイイング。

藤橋 〈C.E〉を入れてて。世間からすれば「デザイナーはSKATETHINGっていう、〈グッドイナフ〉や〈ベイプ〉に携わっていた人でちょっと裏原の匂いがするな」って思われるんですけど、僕らはこのブランドを“エレガントなカジュアル”として入れている。

松本 数ある秀逸なグラフィックのTシャツの中の一番いいやつだっていうね。

藤橋 だから、他に裏原の匂いがするブランドを入れちゃうと……。

松本 意図が伝わらなくなっちゃう。うん、そう。他のブランドにしても、どのカテゴリーに属しているかじゃなくて、服として素敵だったら、そこだけうまく抽出してやりたいね。

藤橋 そうありたいです。

松本 バイイングで言うと、出張は思い出ありすぎるよな。昔、ニューヨーク買い付けで全然買うものなくて。「ちょっと足で稼ぎましょう」とか言って、ブルックリンを歩いて。そしたらほぼ倉庫みたいなワークウェアが山積みになっているショップを見つけて。

藤橋 ありましたねぇ!

松本 バンバン試着して「もしかしたら袖を切っちゃったらかっこいいんじゃない?」とか、もう疲れ果ててるから自由な発想で、デザイナーみたいな気持ちになってきて。

藤橋 4、5点みんな買いましたよね。

松本 そうそう。そしたら次の日「松本さん、ちょっと袖切ってみました」って藤橋が実際に着てきたんだよな。結構かっこいいねって。

藤橋 忘れないです。リングスナップのシャツですよね。袖と裾を切って。松本さん「よし、これで商品化! 帰国したら別注頼んどけ!」って。

松本 めちゃくちゃ売れたもんね。

21年目からのBEAUTY&YOUTH。

藤橋 今年10周年のH BEAUTY&YOUTHはカジュアルの品格を上げるっていうのが裏テーマだったと思っていて、これからはB&Yがそれの続きとして、品のいいカジュアルを広げていきたいという思いはあります。もっとB&Yを幅広く表現できるお店を作りたい。

松本 今の時代はパーソナライズされた世代っていうか、みんなおしゃれなんだけど、同じトレンドには食いつかないと思うんだよ。これから目指すべきなのは、みんな違う格好をしているけど、それぞれがB&Yのことが好きだよねみたいなポジション。

藤橋 そのためにも“セレクトショップのオリジナル”から脱却した、“質の良いブランド”として走っていきたいなって。

松本 スタイルじゃなくて、質がみんなの共通の価値っていいね。同じ服を着ていても、超アメカジの人もいれば、モードな人もいる。その“商品的な質”だけじゃなくて“ブランディング的な質”も担保できていく存在になりたいですね。

プロフィール

これまでの20年とこれからのこと。

松本真哉

上席執行役員・CCO

まつもと・しんや|1996年入社。販売スタッフを経て、2002年から商品部へ。バイヤーとデザイナーを経て、2010年にBEAUTY&YOUTH、2016年にH BEAUTY&YOUTHのディレクターに。2021年よりチーフ クリエイティブ オフィサーを兼任する。趣味はサーフィンとガーデニング。


これまでの20年とこれからのこと。

藤橋享平

BEAUTY&YOUTH ディレクター

ふじはし・きょうへい|2002年入社。販売スタッフを経て、2010年から商品部へ。アシスタントバイヤー、バイヤーを経験したのち、2018年より現職に。H BEAUTY&YOUTHのバイヤーも兼任している。趣味は美術鑑賞。学芸大学の『流浪堂』が大好きで、よくアートブックを買いに行く。

インフォメーション

これまでの20年とこれからのこと。

BEAUTY&YOUTH

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「WHOLE BEAUTY&YOUTH CATALOG」掲載のアイテムは下記リンクからご覧頂けます。
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