ファッション

〈ユンハンス〉とバウハウスの話。

〈JUNGHANS〉MAX BILL by JUNGHANS

2023年11月28日

小旅行とパッキング。


photo: Tetsuo Kashiwada
illustration: Dean Aizawa
text: Koji Toyoda
2023年12月 920号初出

〈ユンハンス〉

「バウハウス最後の巨匠」の愛称で知られるマックス・ビルの偉業を振り返るとき、真っ先に思い浮かぶのはもちろん時計だ(次点はウルムスツールかな)。時計職人を祖父に持つ彼にとって、時計を作ることは逃れられない運命だったのだろう。1956年、ドイツ最大の時計メーカー〈ユンハンス〉からキッチンクロック製作の依頼をされると、翌年にはMoMAのパーマネントコレクションに収蔵されるウォールクロックを、1961年には、初の腕時計「マックス・ビル バイ ユンハンス」を生み出した。「一時的な季節の花でもない。できるだけ流行から離れた時計を作りたかった」。当時の地元新聞にそう語ったデザインピースは、バウハウスの教え「LESS IS MORE」に則ったミニマルな意匠で、60年以上たった今も色褪せることのないタイムレスな一本。リュウズを巻く際に文字盤をじっくり眺める手巻き式を選べば、バウハウスデザインへの理解がより一層深まるかも?


マックス・ビル

マックス・ビル
1908年、スイス生まれ。代表作「ウルムスツール」をはじめ、パヴィリオン彫刻や幾何学的なドローイングなど、数々の偉業を遺したバウハウスの申し子。
©︎getty images

BRAND STORY

〈JUNGHANS〉ロゴ

1861年、ドイツの南西部の風光明媚な田舎町、シュランベルクにて創業。1866年、オリジナル時計を開発すると、20世紀初頭には世界最大の時計メーカーに。ドイツ本国では国民的なブランドであり、実は世界初の電波式腕時計を開発した元祖としても知られる。

インフォメーション

〈JUNGHANS〉MAX BILL by JUNGHANS

34㎜のラウンドケースに華奢なラグ。スリムなバーインデックスが規則的に並んだ意匠は、ミニマルデザインの完成型。バリエーション豊富で手巻きの他に、電波、クオーツ、自動巻きもラインナップ。¥202,400(ユンハンス/ユーロパッション☎03·5295·0411)