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【#1】元指名率ナンバーワンバスガイドが語る「ガイドの大変なところ10選」

2022年3月12日

text: Kei Takahashi
edit: Yukako Kazuno

突然ですが「バスガイド」というお仕事について、どんなイメージがありますか?

「修学旅行・遠足・バスツアー」
「バス酔いしないのかな?」
「美人で歌が上手」
「仕事で旅行できて楽しそう」
「ずっと喋っていて大変そう」

こんな感じでしょうか。

それとも「想像つかない未知の世界」かもしれません。「バスガイドさん」と接した機会なんて、修学旅行くらいなもので、普段の生活ではガイドさんを見る事すらないですよね。そんな珍しい「バスガイド」というお仕事を、私は7年間務めました。

辛い事も嬉しい事も色々と経験し、指名率ナンバーワンのバスガイドになり日本バス協会より優良バスガイドとして表彰された事もありました。(その経験を生かし、今では「なぞなぞ作家」という、これまた特殊なお仕事をしています(笑))

そんな、元バスガイドの私の実体験を元に、少しでも「バスガイド」というお仕事について知って頂けたら嬉しいです。まず初めに、ガイドのお仕事が「楽で楽しいか、辛くて大変か」ですが、圧倒的に「辛くて大変」です!!(断言します!!) それは何故か、「ガイドのお仕事の大変なところ」を10選、ご案内いたします。

1)朝が早くて夜が遅く、基本睡眠不足。
(朝の5時に起床し、就寝は深夜0時を過ぎる事は当たり前です。繁忙期の平均睡眠時間は3時間なんて事もザラにあります。)

2)予定が立てられない
観光バスの職種柄、次のお仕事の予定が分かるのは「2日前」が平均です。なので「再来週の日曜に友達と遊びの予定を立てたい」と思っても、その予定が立てられないのです。(なので友達が居なくなります。)

3)喋る内容は自分で調べている
マニュアルはあっても無いのと同じです!観光案内の内容は、本やインターネットでガイドさん個人個人が自ら調べた内容なのです!

4)毎日勉強が必要
ごく一部の定期観光専門のガイドさんを除き、観光バスは貸切がメインですので、毎日違う場所に行き、違うお客様に観光案内します。


昨日は日帰りバスツアーで山梨〜静岡へ。
今日は中学生の修学旅行で東京都内〜横浜へ。
明日からは2泊3日で小学生の林間学校で栃木県の日光へ。等

毎日違うお客様と、毎日違う場所に行くので、(相当天才でない限り)喋る内容は毎日勉強し続けなければいけません!

5)休日の過ごし方は「寝るか勉強」で遊べない。
休日は、日々の睡眠不足の解消のために寝て過ごすか、勉強で潰れる事を覚悟しなければいけません。私もガイド時代(都内に住む年頃の娘さんなのに)ちっとも遊べませんでした。

6)出逢いがない
「出逢いがありそう」とよく言われます。たしかに「出逢い」だけなら毎日ありました。ただし「お子様やお年寄り」の方々の出逢いがメインです。「年齢が近く恋愛対象になり易い異性との出逢い」は、皆無と言っても過言ではありません。

7)恋人が出来ない。
元々恋人が居ない場合、仕事上の出逢いもなければ、休日に遊ぶ事もないために、仕事でもプライベートでも新たな恋人を獲得する事が出来ません。また、元々恋人がいる場合も、予定が立てられないので恋人に会えず、勉強で忙しく連絡も出来ないが故に恋人と別れてしまうという人は多かったです。ちなみに私はガイドをしていた7年間、一度も恋人が出来た事はありませんでした。

8)お給料が少ない
個人的な意見ですが、正社員のバスガイドの月の手取りの平均は「13万5千円」位だと思います。(誇張してません)どう考えても少ないですよね。ちなみに、1番少なかった時は月の手取りが4万円でした。流石に泣きました。

9)向き不向きに左右される
「人前で喋る」という仕事内容上、お仕事のクオリティ・お客様の満足度は、バスガイド個人の力量によって大きく左右されます。良いガイドになりたくて同じ位の努力をしても「持って生まれた喋りのセンス」が、有るか無いかで、天職になるか退職になるか左右されるのです。

10)努力に終わりがない
「終わりがない」これにつきます。どんなにたくさん勉強しようが、経験を積もうが、今日喋った内容も、そのままではいつか使えなくなるのです。例えば今日「最近話題のお店の話」をしても、半年後には話題じゃなくなるでしょう。「日本一高いビルの話」をしても、明日にはもっと高いビルが建つかもしれません。

「この村に古くから伝わる伝説の話」をしたくても、お客様に話すべきではない、時代遅れな内容の可能性があります。日々、テレビやインターネットで最新の情報をチェックし、話す内容は試行錯誤し続けなければいけないのです。今日、お客様に最高に喜んでいただけたとしても、明日はまた全く別のお客様の為に、新しい情報を、自分を通してパフォーマンスし続けなければいけず、それはどんなに頑張っても、努力に終わりが見えないのです。

以上が「ガイドのお仕事の大変なところ10選」でした!

いかがでしたか?
想像したよりも大変そうでした?

たしかに、ガイドは本っ当〜に大変なお仕事でした。陰で数え切れないほど沢山泣いて何度も何度も辞めようと思いました。じゃあ、なんでこんなにも大変な仕事を私は7年も続けていたのかって??

フフフ、ちゃんと理由はありますがそれはまた次回のお楽しみに、、、!!

ではでは、
この記事を最後まで読んで下さって
誠にありがとうございました!

あ、その前に、突然ですがなぞなぞです!!

●イドはイドでも、バスの中の、お喋りなイドってどんなイド??

流石に分かりましたかね?
答え合わせもかねて、次回のコラムでお会いしましょう!

プロフィール

高橋啓恵

たかはし・けい|なぞなぞ作家、クイズ作家。元指名率ナンバーワンの人気バスガイド。100円ショップのDAISOでも1冊100円(税込110円)という、なぞなぞ本史上類のない低価格でハイクオリティな出版で13万部以上のベストセラーに。特技は「どんな事柄でもぞなぞが作れる」こと。「値段交渉は基本しない」をモットーに、なぞなぞに関するお仕事は、どんな事でも随時喜んで受付中!

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