ライフスタイル

世界の部屋から。Vol.11/TORONTO

理想の空間を求めて訪ねた世界8都市11部屋。ラストは、友達がリフォームした元倉庫に住むトロントのカップルの部屋!

2021年5月30日

シティボーイの部屋作り。


photo: Aaron Wynia
illustration: Adrian Hogan
text: Aki Takabatake
2021年3月 887号初出

元倉庫とは思えない、ミッドセンチュリーな秘密基地。

Thomas Rossini
Rossini HomesCustom Home Builder
トーマス・ロッシーニ|1989年、トロント生まれ。大学で政治学を専攻後、家族経営のハイエンド・カスタムメイド・ホームの会社の後継者に。
Alex Redfern
AppleAdvertising Producer and Media Manager
アレックス・レッドファーン|1991年、エドモントン生まれ。大学院を修了し広告代理店に就職。現在「アップル」の広告チームで働く。
シンプルなリビングの至る所に、ヴィンテージショップや地元の『kijiji』で買い集めた、ミッドセンチュリーやポストモダンの名作家具が。仕切りのないオープンスペースゆえ、モロッコのラグで視覚的に区分け。高浜和秀の赤いラウンジチェアはアレックスのお気に入り。
リビングは2人のお気に入りの空間。大きく育ったイチジクの木の下で、ふかふかな〈リーン・ロゼ〉のソファや高浜和秀のラウンジチェアに座って本を読んだり、プロジェクターで映画を観たり。真上に天窓があり、陽光が差し込む。ローテーブルは、偶然手に入れたラピスラズリの板で自作。

 グラフィティが描かれた路地裏の怪しげな建物。でも、扉を開けると一転、採光抜群の明るいリビングが広がる。倉庫だった建物を友達がリノベーションした物件に、デザイン好きなトーマスが買い集めた、ミッドセンチュリーを中心とする名作家具たちが並び、まるでギャラリーのよう。ラピスラズリの板で自作したローテーブルを、脚のないソファで囲んだおかげで、全体的に重心の低い住空間となり、アットホームな雰囲気もある。天井や壁には元倉庫ゆえの無機質さも残るため、「カラフルなインテリアやグリーンを意識して置いてるの」とアレックスが言うように、家具はもちろん食器などの雑貨類、壁のアートはどれも色彩豊かで、イチジクの木などの観葉植物が有機的に交じり合う。寝室のハシゴを登ると屋上テラスも! トロント名物CNタワーも一望できるここで、夏は読書をしたり、ディナーを食べたり。その外観も含め、秘密基地とはまさにこのこと!

. Exterior .

外装
元倉庫というのも頷ける、グラフィティの描かれた建物。狭く錆びた非常階段を上った2階に彼らの玄関がある。活気のあるリトル・ポルトガルの中心地で、建物の反対側は大通りに面している。

. Living Room .

.  Corridor .

廊下に飾られているランプ
玄関を入ると寝室まで通じる廊下では、ソットサスのランプ、イームズのストレージユニットがいきなり迎えてくれる。壁にもハングイットオールやウーテン シロなど、名作家具のオンパレード。まるでギャラリーのよう。

. Kitchen .

キッチン

. Bedroom .

バルーン型のライト
寝室は廊下の先にあり、部屋のハシゴを登ると天窓から屋上テラスに出られる。’70年代のモロッコのラグと、ヴィンテージショップで見つけたフルーツスタンドの絵は壁のアクセントに。吊るした植物の水やりはトーマスの仕事。

. Rooftop .

House Layout

AREA カナダ・トロント
SPACE 1LDK  64 ㎡
REMARKS 元は1915年築の銀行だが、工務店→倉庫→住居と変化した後、トーマスの友達によってリフォーム。トーマスたちはその友達からこの部屋を2019年より賃貸。