建築家の哲学が凝縮された、秘密の隠れ家。

Architect / Designer
ミケーレ・デ・ルッキ|1951年、イタリア・フェラーラ生まれ。2021年7/17〜8/9「デザイン・クリエイティブセンター神戸」にて企画展『EARTH STATIONS by AMDL CIRCLE ミケーレ・デ・ルッキと未来を共有する建築』が開催。
あのミケーレ・デ・ルッキの本邦初公開の別宅があるらしい。噂を聞きつけ訪れた家は、イタリア版湖水地方・マジョーレ湖畔の街にある、想像以上に小さな小屋だった。元は菜園の保管庫で、築年数は500年超え(!)。そこにバスルームを新設し、暖炉を設置。曇りガラスで仕切ったデスクスペースからは、庭や近隣の古い家々が見渡せる。扉のないシャワーブースには面食らったが、理由を聞いて納得。「誰にも気を使わず、一人で作業に没頭するための場所だからね。8人兄弟の長男で、いつも賑やかな環境で育ったから、いつか私だけの家が欲しいって夢見てたんだ」。そう目を細めてコーヒーを淹れる姿を横目に壁や棚に目をやると、過去の作品のプロトタイプがあちこちに。いわく、デザインとは試行錯誤するプロセス。「思考の道筋を再認識させてくれる大事なものだから、目立つところに飾っているのさ」。素の自分に立ち返る、自分だけの場所。そんな家をいつか持てたらいいな。
. Desk Space .


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現在取り組んでいるプロジェクト「Earth Stations」のイメージをスケッチ。 -
木製のオブジェや試作品たち。 -
木製のオブジェや試作品たち。
. Bedroom .

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「火は物理的にも感覚的にも、暖めてくれる」と、暖房は薪ストーブに。 -
壁に飾られた木材は着色加工の試作品。酢に浸して変色させた。 -
過去の作品「Casetta 445」(2020)。
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自らデザインした〈ALESSI〉のエスプレッソメーカー「Pulcina」でコーヒーを。 -
ベッドも自作。ヘッドボードは上にモノを置けるようにした。ベッドサイドには〈Produzione Privata〉のランプ「Fatina」が灯る。
. Bathroom .

. Yard .
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建物や庭は石壁で囲まれていて、現地の方言で「Chioso」(閉ざされた場所)と呼ばれている。敷地内には薪置き場の他、一人用のスタジオも隣接。 -
大きな柿の木はシンボルツリー。
House Layout

AREA ロンバルディア州・アンジェーラ
SPACE 2ROOMS 25㎡
REMARKS 中世に建てられた石と煉瓦造りの家。壁や梁などオリジナルを残しつつ、天井や床を張り替えた。ミラノからは車で約1時間、妻と暮らす家は歩いて通える距離。