From Editors
東京は、世界のファッションを編集する街。
NO.948
2026年3月8日
POPEYEの歴史の中で、脈々と受け継がれてきた「東京特集」。そして2026年、創刊50周年の今年は、もう一つの大事なテーマである「ファッション特集」とのハイブリッド版です! (調べてみると、はじめて東京特集で一冊つくったのはなんと45年前!1981年に発売された第99号。「一番いい東京を自分のものにする」でした。)
こうなった経緯にはいろいろありますが、海外のカルチャーやスモールブランドにも強いPOPEYEの特性を活かせることも、大きな理由のひとつ。海外ブランドが東京のスタイルからインスピレーションを得ることも、いまでは珍しいことではありません。
そこで浮かぶ当然の疑問。世界から注目される東京ファッションの特異性って、いったい何なんだろう? 今回、取材やリサーチを進める中でたどり着いた答えは、ズバリ!
「東京は、国もジャンルも、あらゆる垣根を超えて、世界のファッションを編集する都市だ」ということ。
いや、当たり前!と思われるかもしれませんが、自分にとってはそうではありませんでした。
歴史から見ても、栄枯盛衰・スクラップアンドビルドを繰り返してきたのは街だけでなく、街と共にあるカルチャー、もちろんファッションも例外ではありません。国もジャンルも関係なく、流れ込んできたバラバラなものを自然に混ぜ合わせることが、この街に住む人達は異様に上手いんです。
僕は今回の特集で、”東京で売るため”の視点を探るショップバイヤーの取材企画、「BUYER’S PERSPECTIVE」を担当しました。神宮エリアにある『メイデンズショップ』には、他じゃなかなか見かけない〈ウィリアム エラリー〉のヴィンテージのフリース生地を使ったジャケットが置いてあって、一見するだけではわからない、ウェルメイドな服がわんさか! 大小ある東京のセレクトショップの中でもスペシャルなお店です。バイヤー牧野さんが話していて「東京の編集力」を裏付けるエピソードだなと思ったのが、海外からのお客さんが”セレクトショップ”を面白がって訪れるということでした。
海外では「お店=直営のワンブランドショップ」が基本。かたや東京では、どの国のどんなブランドを取り揃えるのかを「お店」が編集する。確かに、日本独特のセレクトショップ文化が、海外の観光客の目にユニークに映るのも納得です。
『メイデンズショップ』のほか、我々が東京を代表するセレクトショップとして取材した『ドーバーストリートマーケットギンザ』も、世界にある系列店舗の中で最も〈コムデギャルソン〉の川久保怜氏の思想を強く映す店舗。6階には異なるブランドを交ぜてディスプレイする“編集スペース”があって、〈ベターウィズエイジ〉など、聞いたことのない気になるブランドがズラリ。ここは例外的に各店舗のバイヤーに何を買い付けるかが一任されているとか!
『ドミサイル東京』はかなり特殊なケースで、まだ経済力のないアーティストやブランドに、店舗やポップアップスペースを、商品を紹介する場所として用意。僕たちがまだ見ぬ世界のスモールブランドを、ほぼ採算度外視でキュレーションするプラットフォームとして、機能していました。
東京にある「セレクトショップ」の多様性たるや! 僕たちにとっては身近な場所ですが、世界的に見るとそうでもないらしい。つい忘れてしまいがちですが、僕たちはファッション的にかなり恵まれた環境の中で暮らしている。そんなことにも改めて気づかされました。
この特集では、東京という街が編集した服やグッドスタイラーの中から、さらに、僕たちが心動かされたものだけを集めました。
先に紹介した企画のほか、東京で暮らす10人のシティボーイを追った「僕と東京。」、東京イーストサイドから始まる最新ショップガイド「僕の東京着倒れ案内。」、髪型とスタイルについて考える「TOKYO HAIR SNAP ’26」、気鋭のデザイナーを突撃インタビューした「Hello! Japanese Designers.」、「春の新作カタログ」。そして、藤原ヒロシさんを筆頭に、東京のファッションとカルチャーの中心になった渋谷と原宿の歴史について対談で振り返る「SHIBUYA CULTURE HISTORY」。
今ほしい服はない? もしそう思っているなら、その考えが少し変わる一着が、この一冊の中にきっとあることを願って。片手に携えるのもよし。バッグに突っ込むのもよし。今ならスマホでページをめくる人もいるかもしれません。さあ、一緒に「世界でイチバンのファッションタウン」へ。新しい春の服を探しに、出かけましょうヨ!
P.s. 突然ですが、〈チューダー〉の招待でサウジアラビアに出張へ行った時のファッションレポートもお届け。
砂漠のモーターレース「ダカールラリー」では、やっぱり花形であるドライバーのスタイルに釘づけ。スタイルというかユニフォームなのだけど、本物がやっぱり一番かっこいい!
とりわけ印象的だったのは、数少ない女性レーサーのスタイル。左腕には、ブラック×ゴールドの「ブラックベイ」。目をひく赤いシューズはレーシング用のもの。
同様に、ブランドから招待されたメディア関係者の1人が、〈OMP〉のレースシングシューズをブラックのミリタリートラウザーズに合わせていてカッコ良かったから、すぐ参考にしようと写メったのでした。きっとこんな風に、みんなが世界のカルチャーを東京に集めているんだよね。
(本誌担当編集)福西翔太
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