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介護の現場はこんなに変わってきた。/介護職・安富ひかりさん

介護の仕事って、今こんなにあたらしいんだ。

2026年10月23日

photo: Naoto Date
text: Neo Iida
2026年11月 955号初出

介護の仕事は、僕らが考える以上に変化を遂げている。
温かいスープを囲んで街のみんなが交ざり合い、誰もが主役になって共に楽しく暮らす。
最新技術が現場の負担をサポートし、職員と利用者がお互いを後押しする。
そんな介護から僕らが学ぶことは多いはず。だから、ケアの最前線にいる人たちを訪ねてみた。

隣同士で寄り添いながら、地域に密着したケアを行う。(介護職・安富ひかりさん)

認知症対応型共同生活介護を行うグループホーム「結」は、少人数で共同生活を送る住宅型施設。シェアハウスのように寄り添って暮らしている。利用者さんに「行かないで〜」と呼び止められる安富さん。

一緒にやってみると、
できることが増えていく。

神奈川県藤沢市の住宅街を歩いていると「おたがいさん」「おとなりさん」「いどばた」と看板が下がった住宅群が現れる。ここは「あおいけあ」が運営する小規模多機能型居宅介護の拠点。高齢者が通いや宿泊、訪問サービスなどを利用し、思い思いに過ごしている。安富ひかりさんは介護スタッフになって5年になる。

「小学生の頃、祖父のもとにデイサービスや訪問入浴のスタッフさんが来ていました。寡黙な祖父が笑うのが印象的で、小学生の頃にはホームヘルパーになりたいって言っていました」

高校の福祉科で介護福祉士の資格を取得。卒業後は特別養護老人ホームに約2年間勤務し、2021年にあおいけあへ。最初から前職との違いに驚いたそう。

安富さんが担当する事業所「いどばた」。共用スペースは天井が高くて明るく、思い思いの時間を過ごす。調理はスタッフが担当するが、利用者が手伝うことも。この日は91歳の女性が人参をおろし金ですり下ろしていた。

「食事や入浴など必要なケアはしますが、一日の流れが決まっているわけではなく、その人が何をしたいかを中心に動きます。天気が良ければ散歩に行くし、買い物にも出かける。『こんなに自由なんだ』って、それまでの介護観が変わりました」

どの棟でも家族のように食事をとり、食器拭きなどは利用者も協力する。

「前はできないことをサポートして、感謝されることがやりがいでした。でもここではできることが増えていくんです。寝たきりに近かった方が、いつの間にか一人で歩いている。『じゃあこれもできるね』ってお互いが前向きになれる。そういう瞬間がたくさんあるんです」

「いどばた」ではみんなで折り紙を使った飾りつけを作るのが日常の風景。難しいところは一緒に考えながら。

「おとなりさん」の食後の風景。夏休みや冬休みは職員の子どももやってくる。

江の島水族館で働いていた利用者と、古巣を訪ねたことも。あの場所に行きたい、あれを食べてみたいという好奇心が自然と体を前のめりにするとわかった。だから「できない」と決めつけない。

「介護には正解がありませんが、その人の希望を叶えられる人になりたいです。何事も一回挑戦して、ダメなら次を考えればいい。この人なら頼れるな、そう思ってもらえる人になりたいです」

「結」にいる柴犬のいずみちゃんは、飼い主と一緒に入居。

プロフィール

安富ひかり

やすとみ・ひかり|2002年、神奈川県生まれ。高校の福祉科で介護を学び、介護福祉士の資格を取得。卒業後、実習先だった特別養護老人ホームに約2年間勤務したのち、2021年にあおいけあへ。現在は「いどばた」で介護スタッフとして働く。

インフォメーション

介護の現場はこんなに変わってきた。/介護職・安富ひかりさん

おとなりさん・おたがいさん・いどばた

神奈川県藤沢市にある、小規模多機能型居宅介護拠点。住宅街に「おとなりさん」「おたがいさん」「いどばた」およびグループホーム「結」が隣接し、通い・訪問・宿泊を組み合わせて高齢者を支える。利用者の「できること」を生かし、地域住民も自然に集う介護のかたちを実践する。運営はあおいけあ。

Official Website
https://aoicare.co.jp/ns/mfh.html