フード

大根ゴロゴロ。餃子の作り方。

定番料理のニューディール。Vol.1

photo: Haruki Anami
illustration: Cari Vander Yacht
text: Ryota Mukai
2024年5月 925号初出

2024年4月10日

 本誌で始まった新連載「定番料理のニューディール」。みんなが好きなお決まりのメニューを再考し、カンタンに、そしてちょっとお洒落に作る方法を料理人の原川慎一郎さんが提案します。POPEYE Webではそのレシピをムービーでご紹介。第1回は餃子!

一見、何の変哲もない餃子。だけどこの中には愉快な歯応えと香りが詰まっている。パクチーを軽くねじってフワッと皿に添え、縁には辛子じゃなくてマスタードをフレンチのソースのように添えて。ワインと一緒にさあどうぞ。

– 材料(20個分)-

・大根 輪切り3㎝(100g)
・豚ひき肉 100g
・豚コマ肉 100g
・白菜 葉・大1枚(100g)
・ニラ 4本(20g)
・玉ねぎ 1/10個(20g)
・にんにく 1/2片
・しょうが にんにくと同量
・パクチー 適量
・餃子の皮 20枚
・塩 適量
・醤油 適量
・小麦粉 小さじ1
・クミンシード 小さじ1
・油 大さじ2
・お湯 大さじ3
・レモン汁 大さじ2
・オリーブオイル 大さじ3
・マスタードイル 適量

– 作り方 –

1. 取材では僕がお店でも扱っている“古来種野菜”を使っていますが、自宅で作ってみる際に用意する食材はもちろん、近所のスーパーで買えばOK。決め手になる大根は、いわゆる青首大根で大丈夫です。あと、僕はパクチーを店の近くの畑で摘むけれど、自宅で育ててみるのもいいと思います。
調理はまず、豚コマ肉、白菜、ニラ、玉ねぎ、にんにくをみじん切りに。白菜の葉は最初に縦に包丁を入れるといいですよ。歯応えが命なのでコマ肉は少し粗めに切って、塩を振っておきましょう。しょうがはすりおろしてくださいね。

2. 今回の主役・大根は1㎝角の賽の目切りにします。そして小麦粉とあえる。これで水分が外に逃げず、食感もよくなる。

3. 塩(ひとつまみ)、醤油(小さじ2)、潰したクミンシード、ひき肉をボウルへ。よ~く粘りが出るまで揉んで混ぜます。これが重要! そして、1と2を投入し混ぜてタネが完成。

4. 包みましょう。皮の縁(全周)に指で水を塗り、真ん中にタネを置く。僕の包み方は超簡単。半分に折って中央を合わせ、右半分・手前の皮の真ん中くらいをつまんでヒダを外側に張る。そうすると奥側の皮がベロンと余って波打つので、素直に畳む(空気を抜いてね)。左側も同様にし、底面を平らに整えたらOK。

5. 焼きます。油をひいたフライパンを中火にかけ、餃子を置く。ピチピチと鳴り、底面が色付いたら、フライパンの温度を下げないように水ではなくお湯を少量投入。餃子にかけてしまいましょう。蓋をして4分蒸して、皮が透けたら蓋を取り水分を飛ばします。

6. そして、お皿にパクチーとマスタードを添えて盛り付け。タレはレモン汁、オリーブオイル、醤油(数滴)で。これが美味!

– 今月の古来種 –

大根ゴロゴロ。餃子の作り方。

雲仙赤紫大根

「長崎県雲仙市の野菜です。僕も尊敬している種取り農家・岩崎政利さんが畑で繰り返し種取りする中でこの土地に根付いた品種」。元は佐賀の女山三月大根で、江戸時代にこの地に渡ってきたとされる。全体が赤紫色で、みずみずしくしっかりした甘味があるのが特徴。

古来種野菜とは? 品種改良されず、日本各地の畑で長きにわたり受け継がれてきた種の野菜のこと。在来種ともいわれる。「野菜の民芸品のようなものです」

 僕は2020年に東京から雲仙に移住しました。そのきっかけである古来種野菜の魅力も、毎回お伝えしていきたいと思います。

プロフィール

大根ゴロゴロ。餃子の作り方。

原川慎一郎
『BEARD』店主

はらかわ・しんいちろう|1978年、静岡県生まれ。長崎県雲仙市でレストラン『BEARD』を営む。北海道函館市のカフェ『cafe water』のオーナーでもある。

Instagram
https://www.instagram.com/beard_shin_harakawa/