フード
バーでの過ごし方を心得ている。
2024年2月18日
HOW TO BE A MAN
photo: Hirokazu Kobayashi
illustration: Yo Ueda
text: Keisuke Kagiwada
2019年12月 872号初出
誘われた2軒目がカラオケではなく、バーだったとき、その後ろ姿がいつもより大きく見えた。今まで人に連れていってもらったことしかなくて、自分でその重い扉を開けたことなどなかったし、バーでの作法については少し聞きかじったことがある程度。知っているようで知らないバーのことをきちんと学びたいと思って、訪れたのは帝国ホテル 東京の『オールドインペリアルバー』。心配していた堅苦しさなどなく、入門にとてもよいところだった。詳しくは店内の図解イラストを見てもらうとして、「最初の一杯は?」「帽子は取らないとダメ?」など基本を知っておけばあたふたすることも減るし、ゆったり時間を使えるようになる。バーの醍醐味は時間を楽しむところにあるからね。
脱帽はお忘れなく。
『オールドインペリアルバー』(以下、OIB)に限らず、室内に入ったら脱帽は基本中の基本。男子のショートパンツおよびサンダルもNGだ。言われなくても、そんなマネはしないだろうけど。
ライトの意匠に挨拶を。
店内左奥の壁画や、バーカウンター内のテラコッタは、フランク・ロイド・ライトが手掛けた旧本館の意匠。ゆっくり見渡しながら楽しもう。他のお客さんをジロジロと見ることはしないように。
最初の一杯はお薦めを聞く。
はじめてのバーでは、お薦めを聞こう。OIBなら、大正時代に生まれたオリジナルカクテルの「マウントフジ」。ジンにパイナップルジュースや卵白などが入ってクリーミー。
シガーも楽しめる。
基本、喫煙可。シガー(葉巻)を買えるバーも多い。シガーは吸い終わるのに最低でも30分ほどかかるが、その時間を楽しむのも醍醐味のひとつ。マナーを守って煙を燻らせて。
ボトルには触れてよい。
出されたお酒のボトルに触れるべからずと聞いたことがあったが、スタッフに一声かければ触ってよし。ボトルのラベルには産地や歴史など情報が詰まっているから、むしろ読んでお酒の世界を知ろう。
環境音こそ最高の音楽。
一般的なバーのBGMはクラシックやジャズだが、OIBは夕方以降BGMはなし。談笑する声やバーテンダーがシェイカーを振る音こそが、最高の音楽という粋な計らい。でも、私語はおしとやかに。
ゆったりと談笑する大人にまぎれて。
商談なのか、スーツ姿の先輩たちがゆったりと過ごす姿を見かけるのもバーならでは。彼らの社交を横目に、カウンターに座るなりマティーニを頼み、サッと一杯飲んで帰るという飲み方も覚えたい。
お腹がすいたなら。
バーフードも楽しみのひとつ。OIBの名物、分厚いハンバーグステーキサンドイッチ(¥2,900)は、かぶりつきたい気持ちを抑えて、ナイフ&フォークで食べるのが紳士的だ。
お通しにバーの色が出る。
柿の種とピーナツをミックスした、おつまみの定番「柿ピー」を、最初に作ってサービススナックとして出したのはOIB。ちなみに柿の種とピーナツの配分は7:3だそう。
黄になったら帰ろう。
OIBのカウンターの奥には、お酒の瓶と並んで信号機が置かれている。ラストオーダーの時間になると黄になり、閉店が近づくと赤になる。長居しても急かされることはないが、黄色信号で帰ろう。
インフォメーション
オールドインペリアルバー
1970年にオープンした、帝国ホテル 東京のメインバー。フランク・ロイド・ライトが設計した帝国ホテル旧本館の面影を随所に残す。2杯飲んで大体5000円くらいが目安。※2019年11月時点の情報です。
◯東京都千代田区内幸町1-1-1 本館中2階 ☎03・3539・8088 11:30〜LO24:00 無休
関連記事
フード
僕が好きなこの店の、この一杯。/ソリマチアキラ
2022年8月18日
フード
“魂”引き継ぎ守り続ける、日本最古のソウル・バー『George’s』。
東京五十音散策 麻布十番③
2023年8月4日
フード
あちこちでコーヒーカクテルを。
2022年9月7日
フード
ソーダ割りを美味しく作るには。
ほんの少しで大きく変わる。
2022年8月21日
ライフスタイル
ジェントルマンならこうするね。/エチケット編
自分のことより相手を優先。紳士の基本は“思いやり”だ。
2021年4月17日
フード
コーヒーと音楽と頼れる人たちがいる、地下のサードプレイス『QUINTET』。
東京五十音散策 梅ヶ丘①
2023年8月19日
カルチャー
『ジョンジョン』50年。ホンモノが営む、ホットドッグ店の草分け。
2021年12月29日
ライフスタイル
【#1】 ジャイアントコーン
2021年3月9日
フード
夏は南米のお酒を。/Bar B&F
2022年9月7日
カルチャー
のみ歩きノート / 画・文 牧野伊三夫
マダガスカルの酒
2021年7月28日
フード
ポチャ文化を体験だ。
2023年6月16日
ピックアップ
PROMOTION
〈ナナミカ〉と迎えた、秋のはじまり。
2024年10月25日
PROMOTION
〈バレンシアガ〉と〈アンダーアーマー〉、増幅するイマジネーション。
BALENCIAGA
2024年11月12日
PROMOTION
〈ハミルトン〉と映画のもっと深い話。
HAMILTON
2024年11月15日
PROMOTION
〈ザ・ノース・フェイス〉のサーキュラーウールコレクション。
THE NORTH FACE
2024年10月25日
PROMOTION
〈バーバリー〉のアウターに息づく、クラシカルな気品と軽やかさ。
BURBERRY
2024年11月12日
PROMOTION
人生を生き抜くヒントがある。北村一輝が選ぶ、”映画のおまかせ”。
TVer
2024年11月11日
PROMOTION
介護がもっと身近になるケアギビングコラム。
介護の現場を知りたくて。Vol.3
2024年10月23日
PROMOTION
君たちは、〈Puma〉をどう着るか?
Puma
2024年10月25日
PROMOTION
〈ティンバーランド〉の新作ブーツで、エスプレッソな冬のはじまり。
Timberland
2024年11月8日
PROMOTION
うん。確かにこれは着やすい〈TATRAS〉だ。
TATRAS
2024年11月12日