ファッション

家具を探すみたいにポップな時計を。

WATCH

2022年9月27日

シティボーイのABC


photo: Hirokazu Kobayashi
text: Koji Toyoda
2022年10月 906号初出

 いつかは高くて良いアンティークウォッチを手にしたい。絶対。でも安くて、チラッと目に入ってついテンションが上がっちゃうような時計が、この世にはまだまだあると知ってしまったら、そのいつかはもう少しだけ先になるのかもしれない。ここに集めたのは、だいたいU3万円でプロダクトデザイナーなどが手掛けたポストモダンかつポップな腕時計。まさかあの内田繁先生が時計を作っているとは知らなかったけれど、そんな思いもよらぬトゥーグッドなデザインと出合えるのもこの界隈の醍醐味だ。スタンドライトやスツールを買うテンションで隠れた名作を掘り起こしてみないかい?

ピエール・ジュノーのリストウォッチ
あの名作チェア「セプテンバー」を生み出したインテリアデザイナー、内田繁によるポストモダンなリストウォッチ。数字も目盛りも持たない現代アートのような35㎜の文字盤は、何度見ても惚れ惚れする。スイスの時計メーカー「ピエール・ジュノー」製。¥49,350(ピエール・ジュノー/design shop☎03·5791·9790)

〈ウィジングス〉のスマートウォッチ
フランス生まれの〈ウィジングス〉。こんなにポップでおもちゃみたいなルックスなのに、実は専用アプリと連動し、消費カロリーや睡眠サイクルを記録&管理できるスマートウォッチなのだ。アクセサリー感覚で身につけながら、ヘルシーな生活も目指しちゃおうって寸法よ。¥10,318(MoMAデザインストア表参道☎03·5468·5801)

〈モンディーン〉のウォッチ
スイス全土の駅に設置される鉄道時計をモチーフにしたのが、この〈モンディーン〉。この時計の真骨頂は、60秒を刻む瞬間。赤丸付きの秒針が一時停止すると、分針がピョコンと次の目盛りにジャンプ。その姿が妙に愛らしくて、一日に何度も眺めてしまう。ボーイズサイズの32㎜。¥27,720(M oMAデザインストア表参道)

〈BRAUN〉のウォッチ
こちらは、1991年に発表されたブラウンの名作「AW50」の復刻版。数字と分目盛りを排除し、33.5㎜ケースとベゼルをシルバーでまとめたミニマルデザインは、さすがディーター・ラムスの仕事。そのデザイン哲学「Less but Better」は、やっぱり素晴らしいね。 ¥38,500(アイ・ネクストジーイー☎03·5469·4317)

〈LIP〉の「マッハ2000」
世界で初めてプロダクトデザイナーが腕時計をデザインしたのが、この〈LIP〉の「マッハ2000」。あのフランスの特急列車「TGV」を手掛けたロジェ・タロン作品だけあって、レトロフューチャー感たっぷり。ちょこんと赤いリュウズが1個だけ付いた30㎜のミニサイズ。¥27,500(14 SHOWROOM☎03·5772·1304)

〈スウォッチ〉のウォッチ
昔から〈スウォッチ〉は、グッドデザインの宝庫。Tシャツにパーカなど、ネオンカラーに目がないシティボーイにオススメなのが、この「エレクトリックフロッグ」。フリーディレクターの三好良さんに教えてもらった一本。おもちゃみたいな見た目も、値段も、キュートだね。¥8,800(スウォッチ/スウォッチ コール☎0570·004·007)

初代アップルウォッチ
誰が何と言おうと、時計界のキング・オブ・ポップは、初代アップルウォッチ。ブルーベゼルが囲った、白い文字盤の中では、ソットサスの作品のような3本の針がゆっくりと時を刻む。れっきとしたオフィシャル物で、その正体は’95年のmac OSアップグレードキャンペーンのおまけ。eBayを探せば、たまに$300くらいで見つかるよ。