カルチャー

机の上のサイエンス。Vol.16

音叉

2022年10月3日

text & edit: Shogo Kawabata
photo: Akira Yamaguchi
2022年10月 906号初出

正確な音波を発生させるためのカタチ

机の上のサイエンス
聴力検査用のハルトマン氏音叉は、128Hz、256Hz、512Hz、1024Hz、2048Hzの5本セット。振動数を下げる場合、音叉を長くすることで下げるが、ウエイトをつけると短いままでも下げることができる。(ニチオン https://nition.jp

 U字に曲げられた金属棒の先端を叩くと、ある一定の振動数を持つ音を発し、楽器の調律などに使われている「音叉」。このどこかミステリアスな雰囲気のある道具は、もともとは1714年にイギリス王室楽団のトランペット奏者が考案したものだが、現在では楽器の調律だけでなく、医療にも応用されている。写真はハルトマン氏音叉と呼ばれる、聴力検査用のもの。それぞれ異なる形状の音叉から発せられる低音から高音まで特有の周波数を使い、難聴の状態をチェックするのに使われている。また、脳外科用の音叉では、その振動により神経のブロックや麻痺などの感覚をチェックするのにも使われる。これらは日本の音叉メーカーのパイオニアである「ニチオン」で製作されているもので、ニチオン音叉は、その正確さから、警察がスピード違反検挙のために使用するスピードチェッカーが出す音波の校正用にも採用されている。