カルチャー

目指せGEEK WATCH図鑑!!! Vol.49

写真・文/久山宗成 a.k.a. Donald

2026年3月31日

photo & text: Muneaki Kuyama a.k.a. Donald
edit: Yukako Kazuno

第49回は、Philippe Starck(フィリップ・スタルク)腕時計特集。ご存知フィリップ・スタルクは、1949年生まれのフランスを代表する世界的デザイナー。家具・建築・プロダクトなど幅広い分野で活躍し、高級品から量産品まで幅広く手がけています。機能と遊び心を融合させ、“日常をちょっと楽しくする”デザインの巨匠なんです。有名作品としてはこちら。

「ジューシーサリフ」(レモン搾り機)
1990年にフィリップ・スタルクがデザインし、イタリアの〈Alessi〉から発売されたレモン搾り機。レモンを搾るという本来は地味な行為を儀式的な行為に変える名品。

ルイ・ゴーストチェア(透明な椅子)
2002年にイタリアの〈Kartell〉から発売された椅子。ルイ15世様式の椅子を透明にしたデザインで継ぎ目なしで作られる工業技術の象徴。軽くてスタッキング可能という実用性も兼ね備えたデザイン史に残るプロダクト。

そして、フィリップ・スタルクが腕時計をデザインするとどうなるか? そのアンサーがこちら。1990年代後半〜2000年代初頭に展開されたPhilippe Starck × Fossil のコラボによる腕時計で通称STARCK WATCH(スタルク・ウォッチ)シリーズ。

腕時計の中央に穴が開けられまるでドーナツのような衝撃的デザインは、視認性を犠牲にすることで、腕時計のデザインを再定義。中央のレンズ越しに現れる時刻は、時計という道具の前提を静かに裏切る、認知インターフェースの再設計です。腕時計にある針を省略して、数字が時刻、外周のカラーディスクの黒いグラフィックが分針。時計のデザインを根本から覆した名作。

こちらは前述のメタルバージョンの最大のネックである重さを解決してくれるシリコンバンドヴァージョン。

Philippe Starck × Fossil
PH4001(世界限定1500本)
2000年前後のモデルで一発で時刻を認識できるデジタル時計の良さを取り去りボタンを押さないと時刻が表示されない挑戦的な腕時計。しかも、LED。数字をグラフィックに再解釈した名作。ソリッドで建築的なアクリルケースもお見事。

前述のメタルではなく、ケースとバンドが完全に一体化したシリコンバージョン。軽量化することでさらに装着しやすくなりました。

Philippe Starck × Fossil
STARCK WATCH(クロスディスプレイ)
時間表示の“領域”を十字架のデザインの中に制限。情報は全面に提示されるものではなく、十字架という意味を持つ形の中に封じ込めた意欲作。

Philippe Starck × Fossil
STARCK RING WATCH(リング型ウォッチ)
時計の装着位置を手首から指へと移行。時間は主役ではなく、ジュエリーの中に潜む副次的な機能へと格下げされている。時計という概念を、最も静かに、そして決定的に逸脱したプロダクトである。STARCK WATCHの中でも最も入手が難しいモデル。

今回ご紹介したSTARCK WATCHは「ワタリウム美術館」のミュージアムショップ「ON SUNDAYS」にてポップアップにて展示販売しています。ご興味のある方は是非実物をご覧にお越しくださいませ。期間中は私ドナルドも毎日店頭にてお待ちしています。

インフォメーション

目指せGEEK WATCH図鑑!!! Vol.49

【GEEK WATCH SPRING LIMITED STORE】

会場 : オン・サンデーズ1F(東京都渋谷区神宮前3-7-6)
日時:3月28日(土) 〜 4月5日(日)
時間 : 11:00〜20:00

プロフィール

目指せGEEK WATCH図鑑!!! Vol.49

久山宗成 a.k.a. Donald

くやま・むねあき | 改造活動家、企画編集者、GEEK WATCH偏愛家。ワタリウム美術館のミュージアムショップ地下中二階にて、2014年より改造見世物小屋『+R.I.P. STORE』を営む。様々なマテリアルや手法を組み合わせてジュエリー、腕時計、プロダクト、舞台美術などを制作している。趣味的に始めてどハマりしたGEEK WATCHのコレクションは今や700本以上。現在『GEEK WATCH PEDIA』なる本を編集中。

Instagram
https://www.instagram.com/geekwatch_tokyo/
https://www.instagram.com/kuyama_donald_muneaki