ファッション

上質な革のにおいが充満した〈ルイスレザーズ〉の店舗へ。

Cheap Chic in LONDON

2024年10月4日

僕らのチープシック2024


photo: Mikito Izuka
text: Rintaro Tezuka
2024年10月 930号初出

 僕はロンドン在住のデザイナー、手塚凜太郎。今回は「チープシック」という視点からイギリスのショップを紹介したいと思う。

 個人的な見解だが、〈ルイスレザーズ〉の革のにおいはイギリスの象徴のひとつだと思う。1892年、紳士服の仕立て店として誕生。現在も英国のテーラーメイドの伝統を守り、採寸から革の種類、裏地に至るまで、完全なカスタムオーダーに対応している。今回はラッキーにも代表のデレク・ハリス氏に店舗を案内してもらうことに。「初めてブランドを知ったのは、サッカー雑誌の広告。バイクやパンクなどのイメージが強調される一方で、実はスタイルに左右されることなく幅広く愛用できる普遍的なレザーブランドなんだ」と語る。「ラモーンズのようにタイトなライダースにTシャツと〈リーバイス〉606を合わせた武骨なスタイルも色褪せない定番スタイル。今なら少しゆとりを持ったサイジングで、シャツやセーターの上に上品に着こなすのもいい」。最初は硬いレザーが体に馴染む感覚は格別。まさに一生ものだ。

僕がロンドンの蚤の市で入手したヴィンテージのノーカラーのテーラードジャケットを持参。オフィスに残る膨大な資料から古いカタログを見せてもらうと、「1964年製ELITE No. 420」というモデルと判明。また、店舗ではコートが気になった!

400着以上の革ジャンから小物まで、デレク氏の貴重なコレクションが保管される倉庫も特別に見学させてもらった。シンプルなレザーシャツは’60年代、若者に向けて作られたカジュアルなモデル。’50年代のブラックの「ブロンクス」は〈ルイスレザーズ〉を代表するモデル。そして茶色のライダースは定番として愛され続ける「ライトニング」。こちらは’60年代のブラウンレザーの仕様と赤い裏地がかっこいい。

レザージャケットというと黒や茶色をイメージするが’70年代、カラーテレビの誕生をきっかけに普及したカラーレザーも〈ルイスレザーズ〉の代名詞。1973年の登場以来、人気のモデル「サイクロン」のターコイズカラーを試着させてもらった。

上質なレザープロダクトで満たされた店内には、Tシャツや小物なども並ぶ。各種ジャケットは、店内にある豊富なサンプルの中から試着と採寸を繰り返しながら、理想の一着を注文することができる。

インフォメーション

ルイスレザーズ

ロンドンの中心街ソーホー近くにある店舗。創業当時の名称「D.LEWIS LTD」の名が今も刻まれる。

◯33 Windmill St., London W1T 2JP 

Officail Website
https://www.lewisleathers.com/

プロフィール

手塚凜太郎

デザイナー

てづか・りんたろう|1998年、神奈川県生まれ。国内外のブランドで経験を積み、ロンドンの大学院で学位を取得。今回、ロンドンの「チープシック」なお店を案内してもらった。その他のお店は本誌をチェック。