カルチャー

机の上のサイエンス。Vol.35

分子構造模型

2024年5月3日

photo: Akira Yamaguchi
text & edit: Shogo Kawabata
2024年5月 925号初出

ナノな世界に広がる幾何学の美。

91個のアクリル製の球と、スリーブ状の棒をつなげて、ダイヤモンドの結晶を作ることができる分子構造模型キット。クリスタルピンク、フレッシュグリーン、クリアのカラーバリエーションもある。ダイヤモンド(クリスタルブルー)¥3,300(モルタロウ

 目で見ることができない分子構造を、球と棒を使って立体的に可視化した模型「分子模型」。これを作るためには、サイズの異なる球状のパーツと、長さが微妙に異なる棒を、コツコツと組み立てていく、非常に根気のいる作業が必要となる。特に、様々に異なる長さの棒の中から正しいものを選んで組み上げる作業は非常に複雑で、分子模型を気軽に楽しむためのネックとなっていた。

 しかし、このモルタロウ社製の模型は、棒の長さが「単結晶」「二重結晶」「三重結晶」の3 種類に整理されており、パーツ構成が非常にシンプル。パーツ構成が少なくなると逆に精密性が下がってしまう、というマイナス要素もあったが、約650種類の原子間距離の実測データを基にして原子の球をつなぐ棒の長さを決めることで、精密な表現も担保している。分子が連なった幾何学的な美しさを眺めながら、ナノの世界に想いを馳せたい。