カルチャー

テンション下げずに5月を乗り切るための3作。

5月はこんな映画を観ようかな。

2024年5月1日

『恋するプリテンダー』
ウィル・グラック(監)

オーストラリアのリゾートウエディングを舞台に、最悪の出会いを果たした男女が再会し、ひょんなことから恋人を演じるハメに。要するに、王道のラブコメなんだが、さすがウィル・グラック監督、このジャンルを熟知してらっしゃる。とりわけ”水に濡れる”イメージを、手を替え品を替え反復しながら、クライマックスへと導く手際は、古典的ハリウッドのように無駄がなく気持ちがいい。あるあるシーンの配置や塩梅も含めて迷いがなく、「ジャンル映画とはこう作るべし」というお手本のような1作。5月10日より全国公開。

『クイーン・オブ・ダイヤモンド』
ニナ・メンケス(監)

©1991 Nina Menkes ©2024 Arbelos

カジノでブラックジャックのディーラーをする女性が主人公だ。しかし、カジノという言葉が想起させるテンションの高さは、ここにはない。どうやら昼は寝たきりの老人を介護しているらしい女性の日常を、断片的に映す本作において、終始彼女は気だるい表情のままなんだから。にもかかわらず、ウルリケ・オッティンガーのビジュアルセンスとシャンタル・アケルマンのストイシズムが、悪魔融合したようなその白昼夢的世界観は、観る者を釘付けにして離さない。これは何なのか!? 気になった人は、同時公開される監督のその他の作品も観るべし。5月10日よりヒューマントラストシネマ渋谷にて開催される特集上映企画「ニナ・メンケスの世界」内にて上映。

『アンフロステッド ポップタルトをめぐる物語』
ジェリー・サインフェルド(監)

1963年ミシガン州。シリアルの2大ライバル会社ケロッグとポストは、朝食の概念を根底から覆すようなペストリーを生み出そうと競い合っていた。日本ではあまり馴染みのないポップタルトの誕生にまつわるそんな実話をゆるーくベースにした本作は、シットコムの傑作『となりのサインフェルド』シリーズで知られるジェリー・サインフェルドが監督を手掛け、本人の他、メリッサ・マッカーシーやエイミー・シューマーなど数々のお笑い巧者が出演。観た後は必ずや食べたくなるので、とりあえず、ポップタルトは買っておこう。5月3日よりNetflixにて独占配信。