カルチャー

目指せGEEK WATCH図鑑!!! Vol.16

写真・文/ドナルド魔苦怒奈流怒

2023年6月30日

photo & text: Donald MacDonald
edit: Yukako Kazuno

photo: Kouichi Nakazawa

今から8年ほど前の事。当時、私ドナルドは振り子時計にどハマリし、分解しては改造することに夢中でございました。そんなある日、知人のコレクターさんから「逆回転する機械式の柱時計があるらしいよ」との垂れ込みがあった。

電池式の逆回転時計なら、柱時計でも腕時計でも見つけるのは難しくない。しかし、機械式の振り子時計で逆回転するなんて聞いた事もない。試しにGoogle先生に聞いてみたけど、全く情報が出てこない(最近また調べたけど情報なし…)。それから5年ほど経ったある日。逆回転振り子時計のことも忘れて、日課のヤフオクパトロールしていた時の事だった。なんと! 夢にまで見た逆回転振り子時計が売りに出ているではないか。しかも、程度良好の稼働品。かなり高めのおプライスだったが迷わず落札。それがこちら!

到着した現物を見て最初は気付かなかったのだが、この鏡写しの文字盤はなんと…手描きなのです。

推測すると、腕利きの職人さんに特注して既存の柱時計をカスタムした品のよう。誰が何のためにこんな手の込んだ事を? ヒントは鏡文字。鏡を仕事で必ず使う人がオーダーしたに違いない。その答えは…美容師さんなのです。当時、理髪店で髪を切ってもらうお客さんが、鏡に映る時計を見てびっくりしないようオーダーでカスタムして造らせた物らしく、「床屋時計」とも呼ばれているらしい。

私ドナルドの生業は改造屋さんなので、そうとなったら造ってみたい欲が沸々と沸いてきた。来月は腕利きの柱時計の修理職人さんの元を訪ねて分解してもらい、どういう改造で逆回転にしているかの謎を解こうと思います。という訳で、来月に続きます。

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プロフィール

ドナルド魔苦怒奈流怒

ドナルド魔苦怒奈流怒

改造士、映画監督、GEEK WATCH偏愛家。ワタリウム美術館のミュージアムショップ地下中二階にて、奇天烈な改造見世物小屋『+R.I.P. STORE』を営む。様々なマテリアルや手法を組み合わせてジュエリー、腕時計、プロダクト、舞台美術などを制作している。趣味的に始めてどハマりしたGEEK WATCHのコレクションは今や700本以上。現在『GEEK WATCH PEDIA』なる本を製作しようと目論み中。

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