W大探検部の、知床半島縦走隊の支援を目的とした、オンネベツ川サポート隊は、上流から、源流へ、休まずに、遡行特攻し、いよいよ縦走隊に出会い合流できるところまで、ガンバリ続け、彼らの見え隠れ（斜めに、長く、高く、伸びたハイ松の樹上を、サーカスの網渡りの様に、登り、下り、渡り…を繰り返す）が、確認できる距離まで接近し、再会?!　が目前に迫っていた…。

　近づくにつれ、マサさん（鈴木正昭=直木賞作家西木正明）の姿も見えてきたが、頭〜顔〜衣服〜手足…全身が、火山灰塗れの、今まで見た事の無い、異様な風体…で、何時もの笑顔も少なく、十勝岳噴火の被害を、モロにこうむった縦走隊の、大変さ悲惨さが、一目瞭然で分かり、「大変だったねえ…お疲れ様…」と、平伏して拝みたいような気分になって…、彼らが、我々が荷物を置いて待つ川辺にやって来るのを、今か今かと待ち構えていた…。

　遂に、ソノ感激の瞬間がやって来た!!　と思われたソノ時、「タバコ!!!　持ってきたゾオー」と1人のサポート隊員が、右手に、タバコを、高く掲げて、川岩の上を走り出した!!　縦走隊から、「オオオオー!!」と、ドヨメキと、拍手と、歓声の声が上った!!（タバコ吸いにしか分からないのだろうが?!　タバコが切れた?　時の、彼らのイラ立ち×振る舞い…は、満月の夜のナグリ合い…等々、タバコを吸わない筆者も、何度も目撃していたし…、1日分は、毎日買えても、1ヵ月分のマトメ買いはゼッタイに無理な真理?!　を、何度も聞かされ…、タバコ吸い?!　にとって、タバコが、どんなに有り難い貴重品であるかは、承知していた!!）ソノ、「バンザイ!!!」の寸前、ハラケン（原田建司=直木賞作家船戸与一）が滑って転び、大事な!!　大事な!!　大事な!!　お宝の!!　おタバコ様を!!　川に落とし!!　滝壺下の、もうゼッタイに取りに行けない下流に、流してシマッタのだった!!

　一瞬ボー然、一瞬沈黙、即後!!　タバコ吸い達の大怒りが大爆発した!!!　拝みたい位に有り難い天使様サマだったハズのハラケンが、「絶対に許せん!!」大馬鹿!!　大悪魔!!　に大逆転し、殴る蹴るフクロ叩きの嵐!!　乱行!!　が、縦走隊のみならず、サポート隊メンバーも加わって!!　天国を地獄に変えた悪魔への、怒りの仕打ち?!　は、痛烈だった!!

　一息入り?!　もう取り返しのつかん事は、どうしようもない…。天国→地獄の悪夢?!　が落ちつくと…、ハラケンを引き起こし、「オイ!　ダイジョーブか?」と、体を触り労る…者も現れて…、諦め切れないアキラメの谷風も吹き始めて…、「オンネベツ川野外劇場」は終幕し、大馬鹿野郎喜劇役者レジェンドHARAKENが誕生したのだった!!

　ハラケンはオレと同期で、山口の銀行役員の息子（家賃等、銀行振り込みされるのは、唯一彼だけだった）で、後に、冒険小説を書き、WILDでSURVIVALな登場人物は、ファンを魅了するのだが、作者本人は、シティーボーイだった為か?!　アウトドア的には、一寸と未熟で?　フックの沢山付いた登山靴が、スポンと脱げて、頭の上に、コツンと当たったり、「タバコ!!!　持って来たゾォー事件」の様に、滑って転んで大分（痛）県…的、信じられないズッコケ昭和笑話が幾つも有り…、そんなギャップは、知る人しか知らぬ秘密だった!!

「タバコ事件」後の展開でもわかるとうり、ソノ人柄は憎めず!　愛嬌が有り!　仲間に優しく!　後輩に慕われ!　他人をソラさず!　皆から愛されて!　人気が有ったので…、オンネベツ川憤怒悲劇も、アッと言う間に、大笑喜劇に、豹変させ!!　心底憎悪して、思いっきり殴った奴等おらず、手加減していたのだと思われた…。「オンネベツ川サポート隊」の総括的落ちは、天国と地獄、怒りと笑いが交錯した?!　信じられない「タバコ」ハプニングだったかと…。我々日常の幸せー喜怒哀楽心理の基源キッカケが、自然世界宇宙…の探検フィールドワーク行動実体験であることや／実存不安夢希望／リアル&フィクション／自我像虚像…にまで想いが及んだ?!「知床探検」の、若い（馬鹿い?）too much な!!!　夏の終り…でした。