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映画と〈ハリー・ウィンストン〉。 – FINDING HARRY WINSTON
Chapter Ⅳ
2021年6月9日
photo: Shunya Arai, Hirokazu Kobayashi, Kazufumi Shimoyashiki, Masuhiro Machida illustration: Hitoshi Kuroki styling: Shinichi Sakagami grooming: Yoshikazu Miyamoto text & edit: Ryoko Iino, Tamio Ogasawara
〈ハリー・ウィンストン〉というブランドがいかなるものか、ダイヤモンドがいかなる魅力を備えているのか。それがよくわかる3本の映画を挙げさせてもらおう。なかには結婚を考えるカップルにとって切実な愛とお金に関する教訓も多々含まれている。3作品とも名監督の作品だし、いい機会だ。

1953
監督:ハワード・ホークス
怒涛の会話劇『ヒズ・ガール・フライデー』に負けず劣らず、ショーガールのローレライ(=マリリン・モンロー)がお金持ちとの結婚を目指すミュージカル・コメディ。劇中歌では、「教えて、ハリー・ウィンストン! 私にダイヤモンドのすべてを!」というフレーズが。
さて、『紳士は金髪がお好き』でマリリン・モンローが演じるショーガールのローレライはお金持ちとダイヤモンドが大好きだ。どれくらい好きかというと、パリ行きの客船内で出会ったダイヤ商の男性の顔がダイヤモンドに見えてくるレベルで好き(笑)。かといってただの金持ち目当てかというと、そうも言い切れないピュアさがある。親友のショーガールが「お金に興味がない人もいるのよ。愛のない結婚でいいの?」と言えば、「私が愛がないですって? お金のことをいつも心配していたら愛する余裕なんてなくなるわ」と反論する。愛の形は変わっても、(その硬度の高さから)ダイヤモンドの形は変わらない、なんてセリフもあり、まさにダイヤモンド賛歌。

1996
監督:ウディ・アレン
NY在住の一家の恋愛と結婚を描く作品。スカイラー(=ドリュー・バリモア)の婚約者ホールデン(=エドワート・ノートン)が婚約指輪を買うためNYの〈ハリー・ウィンストン〉本店を訪ねる。購入したリングはケーキに隠してサプライズを企てるが……。
『世界中がアイ・ラヴ・ユー』ではニューヨークの本店を見ることができる。プロポーズを控えるホールデン(エドワード・ノートン)は「石の大きさは大事じゃないさ」なんてつぶやきながらも背伸びをしてひと粒ダイヤの指輪を購入。しかし、とっておきのサプライズ作戦に失敗してからというもの、刑務所から出てきたばかりの男(ティム・ロス)のワイルドさに婚約者を奪われそうになってしまう。大事なプロポーズにミスは許されないのだ。

1946
監督:アルフレッド・ヒッチコック
〈ハリー・ウィンストン〉がジュエリーを提供したと知って観ると、主人公が身に着けるイヤリングとネックレスのとんでもない輝きがわかるはず。3秒以上のキスシーンが禁止されていた当時、短いキスを繰り返し2分以上のシーンとした、映画史に輝く一本。
ヒッチコック監督作の『汚名』はモノクロ作品だが、だからこそイングリッド・バーグマンが身に着けた〈ハリー・ウィンストン〉のジュエリーの輝き、光の反射は、正直ストーリーが入ってこなくなるくらい眩しい。計算高いヒッチコックをもってしてもダイヤモンドの溢れる輝きをコントロールすることはできなかったかと思うと、これこそ〈ハリー・ウィンストン〉の魅力が最も味わえる映画だと言えるかもしれない。
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