フード

東京おにぎりパトロール。Vol.9

2024年7月26日

東京おにぎりパトロール。


photo: Yuki Sonoyama
text: Eri Machida

中延/みなもと

左からだしあげ¥150、焼鯖¥180、塩つな¥160

塩ツナ、だしあげ、ピリ辛きくらげ、あるようでないツボを心得たラインナップ。

 中延駅徒歩30秒に位置する『みなもと』は2代目の岩崎さんご夫婦で毎朝7時から営業している1967年創業の老舗和菓子屋店。開店時から商品でいっぱいのショーケースの中にはおはぎや大福、ずんだ餅などと並んで実はおにぎりが20種類ほどあり、昼頃にはほとんど売り切れる。「塩つな」、「だしあげ」、「ピリ辛きくらげ」など、他のお店では見ないラインナップが人気で、水分が多くて握るのが難しい「だしあげ」は甘じょっぱい出汁がお米にも染みていて、いなり寿司やきつねうどんに匹敵する油揚げの正解だった。「塩つな」は、子どもにも愛されるツナマヨというよりかは、大人好みの塩鮭のような立ち位置で、体力勝負の仕事の方向けに塩気を強めにしており、塩分が欲しくなる夏にもぴったり。「さば」同様、「明太子」や「たらこ」、「しらす」は大葉入りで後味が爽やか。自宅で試作しお子さんたちの正直な意見を取り入れて具材のレパートリーを増やしているから、確実にご飯に合う美味しいものが並んでいて信頼できる。

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みなもと

会津のこしひかりを釜で炊いており、おこげのように硬い部分が入っていることがあっても安心して食べてほしい、とのこと。ウインナーや納豆など、一つの味を毎日食べ続けるコアなファンもいるらしく、どれも試したくなる!

◯東京都品川区中延4-6-2 7:00~19:00 日休

早稲田/おにぎり屋 かわしま

左から明太マヨネーズヒレカツ¥450、海苔バター¥350、とろたく¥400

開店1年で街に馴染む、名店の系譜を継ぐおにぎり。

 2023年4月にオープンした『おにぎり屋 かわしま』。店主の川島亮人さんは大塚の『ぼんご』で修行し、作り置きしない大きなおにぎりのスタイルを受け継いだ実力者。地元・会津産のコシヒカリを使用し、一気に火力が上がりお米に甘みの出るガス釜で1、2時間ごとにこまめに炊くことで常に炊きたてを提供している。近くにある早稲田大学の学生を意識してボリューミーな「ヒレカツ」や「ウインナー」など『ぼんご』には無いオリジナルも。5月に新しく登場した「とろたく」は、マグロのたたきに和えたわさび醤油とマヨネーズがちょうど良い塩梅だし、『ぼんご』で人気の賄いをメニュー化した「海苔バター」も新感覚の味わいで、いつ訪れてもおにぎりの新しい扉を開いてくれる。パリッとしているが歯切れが良い海苔の秘密は、目には見えない小さな穴を開けているからで、細やかな気遣いがありがたい。

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おにぎり屋 かわしま

6席ある店内では終日お酒も提供している。早稲田大学との交流を積極的に行っており、部活動の案内や試合の宣伝などのポスターが。店先にあった竹燈は学生たちが作ってくれたもので、湯呑みも現在陶芸部が制作中。

◯東京都新宿区西早稲田1-4-19 ☎︎090・5357・7716 10:00~20:30 年末年始休

下丸子/豊田屋

左からやきにく¥130、ねぎみそ¥130、ツナマヨネーズ¥130

こまめな精米が飽きのこない美味しさの秘訣。

 和菓子屋、弁当屋、おにぎり屋の3つの店を営む、下丸子駅徒歩1分の『豊田屋』。創業は明治時代(!)で、1957年に下丸子に移った地元で愛される老舗だ。精米したばかりのおいしさを届けるべく、富山県産のコシヒカリを1週間に2回お米屋さんに納品してもらう。醤油、砂糖、酒で味付けた「やきにく」や、刻んだ九条ねぎと味噌を和えた「ねぎみそ」はシンプルだからこそお米本来の香りや旨みが際立っていた。昼間は近隣の会社に勤める方やご近所の方で賑わい、中には毎日買いにくる常連さんも。店主の豊田明久さんは「お米にこだわっているだけで特別なことはしていない」と話すけれど、個人店で1日300〜400個のおにぎりを作り続けること自体がすごい。何十年も変わらない味と昔ながらの商店が持つ居心地の良さが懐かしく、ひっきりなしにお客さんが訪れるのにも納得した。

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豊田屋

おにぎりは40年前から販売。すじこは160円、他は全て130円とお手頃で、夕方からは2つの食材をミックスした通常よりも大きなおにぎりを1つ200円で提供している。季節限定の具材もあり、夏は葉唐辛子、冬は野沢菜が毎年登場。

◯東京都大田区下丸子3-8-9 ☎︎03・3750・4372 9:00~19:30 月・火休