ファッション
TPOに合う服装とは? Vol.1/セージ・トダ・ネーション
in London
2024年1月19日
STYLE SAMPLE ’24
photo: Kae Homma
illustration: Kouzou Sakai
text: Shintaro Kawabe
coordination: Rintaro Tezuka
2024年2月 922号初出
T=Time、P=Place、O=Occasionをわきまえた服装をする、という概念は多様性の時代でも大切。状況に応じ、自分も周囲も快適でいられるような、嫌な目立ち方をしないスタイル。しかし、それだけじゃオシャレではないね。ここでは個性も上手に発揮する3人に、6シーンの装いを披露してもらいます。
1. 友人の結婚パーティ。
フォーマルシーンでもパンツはゆったり。けれど、ジャケットはタイトなものを。
セージのパンツのシルエットは、どんなときもゆったり。結婚式というハレの日でも、いつもどおりワイドなボトムスを合わせた。「フォーマルなシーンでも快適に過ごしたいからパンツはこの形。だけど、それだとカジュアル過ぎるよね? だからジャケットはタイトなサイズを選んだよ。トップスはジャスト、パンツをビッグサイズにすると綺麗なAラインが完成して、品よくまとまるのさ。シャツはタックインしないことがマイルール。そうすると、程よくカジュアルになるし、動きに制限がなくなってラクなんだ」
2. クライアントとの打ち合わせ。
品よく羽織ったトレンチコートとラフな小物で、このまま夜の社交場にも溶け込める。
「ロンドンはさまざまな文化が行き交う街だから、いろんなシチュエーションに対応できる服で過ごすことがベストなんだ。昼は仕事をして、夜はクラブやライブハウスへ行ったりするからね」。そう話すように、〈Mont-bell〉のナイロンバッグや〈Sage Nation〉のざっくりと編まれたビーニーなどの小物でカジュアルな雰囲気を出しつつも、カチッと感が演出できるようにトレンチコートは襟を立てて羽織る。「仕事場でも太いパンツがはきたくて、くるぶしから少し下くらいの長さにカット。これならスマートに見えるでしょ?」
3. パートナーとのデート。
上品なコートも綺麗にまとめずに、ウォッシュデニムと合わせてとにかくラフに。
「いいコートは羽織るだけで様になるから、つい買ってしまうんだ」と、セージが着るのは、’80年代の〈Burberry〉のラグランスリーブのトレンチコート。〈Sage Nation〉のニットに〈Uniqlo U〉のシャツをレイヤードした品のある上半身に対して、下半身はペイント加工のされた〈Stüssy〉のデニムに〈オニツカタイガー〉のヴィヴィッドなスニーカーというストリートな合わせ。「スマートにまとめ過ぎると堅苦しくなるから、ヴィンテージライクでラフなものを組み合わせた。そうすると、デートにおいて最重要ポイントであるリラックス感を演出できると思うんだ」
4. 雨の日の外出着。
手ぶらでアクティブに過ごすために、フード付きの撥水ウェアと暖かいコートを。
身軽に動けるように傘は持ち歩かないというロンドナーのセージにとって、インナーに着た〈C.P. Company〉のような防水性を備えたフード付きの一着は欠かせない。そしてもう一つ、寒い冬の雨の日に必要不可欠なのが、’50sのイギリスの鉄道員用のコート。「ウール生地とのボンディングなだけでなく、キルティングのライナーも付いているから見た目以上に暖かいんだ。今っぽいテックスタイルになり過ぎないように、〈キーン〉のサイドゴアブーツとナイロンパンツにはコートを合わせるのもポイントの一つだよ」
5. ひとりの休日。
お気に入りのデニムジャケットとスウェットパンツが堅苦しくなく過ごせる、休日のユニフォーム。
行きつけのコーヒーショップ『Climpson & Sons』でブレイク中のセージが羽織るのは、クオリティの高いものづくりにいつも影響を受けているという〈Helmut Lang〉のデニムジャケット。「〈Levi’s〉の『507xx』モデルをオマージュしたこのお気に入りの一着を、シャツみたいに一番上のボタンを留めて着るのが好きなんだ。〈snow peak〉のスウェットパンツは、生地に張りがあるからカジュアル過ぎないのに、ジャージのように軽やかだから休みの日は必ずはいているよ」。スリッパ感覚で履ける〈A Cold Wall〉のデッキシューズも週末の定番とのこと。
6. スポーツ観戦。
たとえ、スタンドにいるとしても、いつでも動けるようなアクティブな装いを。
リヴァプールFCの試合観戦前に、パブでチルアウトするセージ。スポーツを観るときは、自分自身もアクティブな服を選ぶことで気持ちを高めるのがこだわりだ。「〈Sage Nation〉のスウェットパンツに、僕も所属するランニングクラブ〈Run The Boroughs〉と〈New Balance〉によるスニーカーを合わせたよ。このシューズは長時間立っていても全く疲れないからスタジアムに行くときも欠かせないね。忘れちゃいけないのは、〈C.P. Company〉のナイロンジャケット。突然雨が降り出したときに、カッパとしても使えるから便利なのさ」
プロフィール
セージ・トダ・ネーション
1998年、ロンドン生まれ。画家として名を馳せた日本人の祖父・戸田吉三郎の影響により、デザインの道に進む。大学在学中の2019年に、自身のルーツである日本とイギリスの美意識を織り交ぜたブランド〈Sage Nation〉をロンドンを拠点にスタート。
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