ファッション

バウハウスの流れを汲む大学がベルリンに? それが、ベルリン・ヴァイセンゼー美術大学。 自由な美大生たちのキャンパスライフに潜入!

Weißensee IN BERLIN

2023年1月22日

photo: Rie Yamada
text: Yukiko Yamane
2022年10月 906号初出

 ドイツのモダンデザインの礎、バウハウスの自由な教育理念を受け継ぐ学校がある。ベルリン北部のヴァイセン湖近くにあるベルリン・ヴァイセンゼー美術大学だ。学生数は約850人、他の学校と比べて規模も小さいんだけど、最初の1年でデザインとアートに関する基本的な原則を学べる他、違う学科やワークショップへ自由にアクセスできる名門校なのだ。ジャンルにとらわれない分、挑戦できるし、周りから創造力を刺激される環境なんだとか。それはファッションも同じで、冬のベルリナーは全身ブラックになりがちだけど、ここの学生はカラフルで自己流のスタイルを楽しんでいる。

 そんな彼らに学校の好きなところを聞いてみると、誰もが口を揃えて「自由でゆるい校風」という。自由が尊重されるからこそ、授業以外はスタジオにこもって制作したり、真剣にアートと向き合えるようだ。ところで、作品やモチーフで犬が多いのは、愛犬国ドイツっぽいね。

Laurids Koehne
26/Student

ベルリン美大生
Jacket – Burberry
MA-1 – vintage
Pants – vintage
Shoes – Nike
Belt – Ermenegildo Zegna

愛犬クレオの彫像を制作している、彫刻学科のラウリッズ。〈バーバリー〉のジャケットをあえて裏返して着ちゃうところが陽気で個性的な彼らしい。「パステルカラーが好きだから、シューズとパンツの配色がポイントなんだ」

Allistair Walter
28/Student

ベルリン美大生
Sweater – vintage
Pants – vintage (Levi’s)
Shoes – New Balance
Cap – Gymgym
Accessories – vintage

まるでアート作品のようなセーターが目を引くアリスターは、スタジオで油絵用のキャンバスづくりに没頭中。「服はショップじゃなくて、ストリートで見つけることが多い」っていうのも、ベルリンの学生ならでは。

Marlene Kargl
25/Student Walter

ベルリン美大生
Jacket – vintage
Sweater – vintage
Skirt – vintage
Shoes – vintage
Accessory – vintage

他学部の友達と食堂でランチを楽しむ、彫刻学科のマレーネ(左)。「グリーンやグロッシーな素材のアイテムを使ったスタイルが好き。このレザージャケットは友達から買ったんだけど、着てるとその子を思い出すんだよね」

Devi Sund Rojo
26/Student

ベルリン美大生
Knit Dress – vintage
Skirt – Ann Oora
Shoes – Our Legacy
Scarf – vintage
Tights – vintage

「絵画科で絵画だけ学ぶのは古い」と語るデヴィは、布を使ったインスタレーション制作に夢中。身につける服も素材感にこだわっていて、この日はカーテンみたいなスカートが主役。グリーンとピンクの配色もキュート。

Philipp Ernst
33/Student

ベルリン美大生
Jacket – Selected Homme
Overall – Bwolf
Shoes – Element
Cap – Stetson

愛犬のポリーと中庭でビールを片手に休憩中のフィリップ。いつもネイビーやダークブルーのワークウェアがお決まりなんだとか。「好きなアーティストはタル・アール。シェイプやフォルム、子供っぽいところがいい」

Paula Breuer
24/Student

ベルリン美大生
Shirt – used (Fred Perry)
Vest – vintage
Skirt – vintage
Shoes – vintage
Tights – Wolford

この後レセプションに行くというパウラは、彼女の作品から飛び出てきたようなレトロスタイルを披露。「この〈フレッドペリー〉のシャツが着心地よくて好き。今はアクリル画でコスチュームをテーマに作品を描いてるの」

Sammurl Lalier
22/Student

ベルリン美大生
Sweater – vintage
T-Shirt – vintage
Pants – vintage
Shoes – Li-Ning
Accessories – vintage

夜中までスタジオにいることが多いサミュエルは、オールブラック+アクセントカラーのスタイリングが定番だそう。「好きなアーティストはジャン=ミシェル・バスキア。ペイントだけじゃなく彼の生き方も好きなんだよね」

Lorenz Willkomm
25/Student

ベルリン美大生
Cardigan – vintage
Shirt – Zara
Pants – Adidas
Shoes – used (Vallelunga)
Ring – Rossmann

ビジュアルコミュニケーション学科のロレンツは、裁縫室で自宅のカーテンを制作中とのこと。「愛用してる犬のカーディガンは、僕に合うって友達がくれたんだよね。服はフリマアプリの『Vinted』で買うことが多いかな」

at Weißensee Kunsthochschule Berlin

東ベルリンがソビエト政権下にあった1946年に、バウハウスに所属していたアーティストたちによって創立された国立美術大学。 カンチレバーチェア「S33」で知られるマルト・スタムも学園長を務めていた。