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ファッション
No.26 〈ファーラー〉のホップサックパンツと一緒に着るための、’80年代初頭の〈マッターホーン〉と〈リバティベル〉の「起こし頃」は今なのか?
モノのポッドキャスト「これDOW!?」
2023年12月7日
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これDOW!?
cover design: Ken Kagami
photo: Hiroshi Nakamura
narrator: Tomoe Miyake
text & edit: Yu Kokubu
さーて、お勉強の時間です。今回の配信は9ヶ月ぶりの通常回で、番組のレギュラーゲストである雑誌『Subsequence』編集長の井出幸亮さんと、同じく編集者のトロピカル松村さんをお迎えして、’80年代初頭の「〈マッターホーン〉のムートンジャケット」や「〈リバティベル〉のダウンジャケット」などのアウター類を囲んで、「今これDOWなんだろう?」というテーマで雑談中。以下の音声リンクから、モノを持参したトロ松さんの解説を直接聴いてもらうのが一番わかりやすいけれど、記事をさらっと眺めるだけで済むようにも書こうと思っていて、でもまあ、ポッドキャストだけで十分だ、という方は早速以下から聴いてもらいつつ、
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でー、記事を眺める派の皆様はそのまま進んでもらいたいんだけど、今回の配信では1970〜80年代特有のファッション用語、例えば記事タイトルにもある「〈ファーラー〉のホップサックパンツ」をはじめ、〈エンゼルスフライト〉や〈リベティベル〉といったあまり聞き馴染みのない単語が多く出てきた印象だったけど、それもそのはずで、ホップサックパンツは多少見かけるにしても、他のアウター類は「今となってはほとんど掘り起こされることのないサーフ&シティスタイルのアイテム。いうなれば“忘れ去られたアウター”なんですよね。」(談・トロ松さん)とのことで。
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空前の古着ブームなのに、なぜ掘り起こされていないのか? なぜ古着店であまり見かけないのか? それには単純な二つの理由がある。一つはよくある話で、古着店にとって(少なくとも今は)売れ筋ではない、つまり「起こし頃」でない上にそもそも掘り起こすべきモノなのかすら定かではないこと。二つ目はトロ松さんいわく、「当時このアウターをリアルタイムで着ていた(50〜60代の)方々にとっては、貴重かつ格好いいモノというより、街の誰もが着ていた懐かしいモノなので、ある意味でちょっと恥ずかさを感じるジャケットなんです。ディスコなんかに着ていくと、先輩方に『隠したい過去なんだからそこ引っ張ってくんなよ〜(笑)』っていつも言われちゃうジャケットなんですよね。」ということ。
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リアルすぎると少し恥ずかしい。という感情は、「最初に買ったCDは?」と聞かれた時のことを思い出すと、たしかにわからなくもない。”本当の中の本当”は少し恥ずかしいものだ。
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その話でいえば、例えば〈ノースビーチ〉のレザージャケットが1970年代の「王道」「定番」として古着店にあったりするけど、本当に当時の人たちにとって王道だったのか? と問えば、1970年代製というだけで街中があのレザージャケットで溢れていたわけではない。それに対して〈リベティベル〉のダウンジャケットは街の人がこぞって着用した、本当の王道。たった一部のおしゃれ好きが着ていたモノではなく、その他大勢=大衆が着ていたモノ。その、「本当の本当に当時流行っていたのはコッチですよね?」という部分が、トロ松さんがこのアウター類に惹かれている理由だったりもするようだ。
実際当時の雑誌をいくつか見てみると、下記のような特集がたくさん組まれていた。こちらは「Fine」の1981年11月号『心はいつも海気分 サーファーのライフスタイル・カタログ』。こんな感じでムートンがずらり。
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そして、これらのアウター類とコーディネートするために絶対必要だったのが、〈ファーラー〉のホップサックパンツや、〈エンゼルスフライト〉のセンタープレスの入ったフレアパンツだったそう。デニムと合わせたらいいじゃんって今なら思っちゃうけど、なぜか当時はそうでもなかったそうで。(ニュートラの話はポッドキャストにて)
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下写真はトロ松さんがおまけで持ってきてくれたサテンジャンパー。スタジャンじゃなくてサテンジャンパーというのがポイント。このあたりも同様に、当時のシティエッセンスを含んだ”忘れ去られたアウター”の一つだという。
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もっと詳しい話はぜひポッドキャストでお楽しみいただければと思いますが、とりあえずデザインや着心地などがなんであれ、着るのが簡単な服より断然おもしろいモノだなって、とても勉強になりました。視聴は以下のリンクから!
出演者のプロフィール
モノを持ってきた人
トロピカル松村
とろぴかる・まつむら|1988年、兵庫県生まれ。編集ライター。70年代や80年代、クラシックなアクティビティ&スポーツに目がない。ジーンズ&スポーツを掲げるブランド『CRT』のディレクター。二子新地で小さなレコード店『トロピカルレコード』を運営。著書に『ボクのニッポンサーフィンサウンド』がある。
聞き手
井出幸亮
いで・こうすけ|1975年、大阪府生まれ。編集者。POPEYE Webシニアエディター。古今東西のアーツ&クラフツを扱う雑誌『Subsequence』(cubism inc.)編集長でもある。本誌『POPEYE』(マガジンハウス)、『工芸青花』(新潮社)などさまざまな媒体で編集・執筆活動中。主な編集仕事に『ズームイン! 服』(坂口恭平著/マガジンハウス)、『ミヒャエル・エンデが教えてくれたこと』(新潮社)、『細野観光 1969-2021 細野晴臣デビュー50周年記念展オフィシャルカタログ』(朝日新聞社)など。著書に『アラスカへ行きたい』(新潮社、石塚元太良との共著)がある。
聞き手
国分優
こくぶ・ゆう|POPEYE Webクリエイティブディレクター。本番組のナビゲーター。
番組概要
![これdow!? アートワーク](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/05/6bfa7895f31fa418d10f71caf7fc8740-320x320.png)
これDOW!?
『これDOW!?』は“モノ”の番組。POPEYE Web開設当初から『POP-EYE MEETING 編集会議』というのんきな雑談番組があるんだけど、そちらではあまり話せない趣味の話を中心に、スタッフらが本当に好きなものだけが詰め込められたサブチャンネル的立ち位置。主にはPOPEYE Webのクリエイティブチームを中心に、様々なゲストがモノを持ち寄り、モノの周りにモワ〜ンと漂う想い出話やこだわりなどについて雑談中。ときにはモノを作ってみたりもね。番組アートワークは現代美術作家の加賀美健さん、番組ナビゲーターはPOPEYE Webクリエイティブディレクターの国分優さん。POPEYE Web制作の他番組は以下より。
ピーター・バラカンのプロテスト・ソングあたりから始める政治の話。
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