前回に引き続き、逆回転振り子時計の謎を追っていきます。YouTubeのGEEK WATCH CHANNELもぜひご覧ください。

逆回転振り子時計を分解してそのメカニズムの解明を探していたら…なんと! ご協力頂ける方を発見&取材OKを頂きました。それが西荻窪あるこちらのTRIFLE(とらいふる)さん。掛け時計・置き時計・腕時計・懐中時計や各種骨董品・古道具を販売されています。店内に一歩足を踏み入れると…。


所狭しと振り子時計が。ピノキオのジュペット爺さんの工房の如し様子に我々のテンション上がりまくりです。

柱時計だけでなく、腕時計の修理やオーバーホールも受けてくれるそうです。

早速、持ち込んだ逆回転振り子時計と比較できるノーマルバージョンを店主の寺山さんに見て頂きます。修理歴40年以上の寺山さんも逆回転振り子時計は初見というから驚き。

慣れた手付きで分解していく寺山さん。大正時代に作られた振り子時計はビスが錆びて折れやすくなっているので、慎重かつスピーディーに扱います。その手付き、流石熟練者です。

そして、遂に! 内部の構造があらわに。左が逆回転バージョン、右が通常バージョン。

推定では何かしらのパーツを追加し逆回転にしていると思っていたのですが…なんと。追加パーツなし。では何が通常の振り子時計と違うのでしょうか? ゼンマイが通常とは逆に付いているので巻き方が逆! そしてアンクルも逆に付いています。たったそれだけなんです。
改造を生業にしている私ですが、何かを改造する時に何も足さない、何も引かないというプラスマイナスゼロカスタムが一番ハードルが高いのです。恐るべし! 今回、無理なお願いを引き受けてくれたTRIFLEの寺山さんに感謝。この逆回転振り子時計はこのままオーバーホールをお願いしました。上がりましたらまたレポートしますね。
ゲストインフォメーション

TRIFLE(とらいふる)
◯東京都杉並区松庵3-31-16 ☎︎03-6765-7690 14:00~18:00
Instagram
https://www.instagram.com/trifle_nishiogi/
Official Website
https://www.a-trifle.com
プロフィール

ドナルド魔苦怒奈流怒
改造士、映画監督、GEEK WATCH偏愛家。ワタリウム美術館のミュージアムショップ地下中二階にて、奇天烈な改造見世物小屋『+R.I.P. STORE』を営む。様々なマテリアルや手法を組み合わせてジュエリー、腕時計、プロダクト、舞台美術などを制作している。趣味的に始めてどハマりしたGEEK WATCHのコレクションは今や700本以上。現在『GEEK WATCH PEDIA』なる本を製作しようと目論み中。