フード

鎌倉「邦栄堂製麺」の隣に出現した、工場長が作る焼きそばのフードトラック。

3月はこんなお店に行ってきた。

2023年3月28日

photo: Naoto Date
text: Eri Machida

ニューオープンやリニューアルして行きやすくなったお店、新メニューが出た老舗や最近やたらと友達が行っている店など、なにかと気になる飲食店を毎月紹介する連載。

焼きそば¥700

 お米屋さんが作ったおにぎりや果物屋のフルーツポンチなど、食材の専門店が軒先で販売している料理は間違いないけれど、それを再確認させてくれたのが鎌倉にある製麺所『邦栄堂製麺』が3月に始めたフードトラックだ。

『邦栄堂製麺』は、1953年に創業した老舗製麺所で、中華麺はもちろん、餃子やワンタンの皮などを直売、卸売しており、地元の人だけでなく、県外からもお客さんが集まる、言わずと知れた人気店。麺の美味しさをより知ってもらいたいと、3代目の関康さんの好物で、製麺所の工場長・鎌田裕樹さんの得意料理でもある焼きそばを金曜日、土曜日限定で提供することになった。

 もっちりしながらも歯応えがあり味わい深い高加水の平太麺を一番良い状態で提供するべく、ラーメン屋さんのように注文が入ってから茹であげ、鉄板で調理をするスタイルで、具はシンプルに豚、ニラ、もやしのみ。ソースと具と麺が絡み合い、麺はモチモチ、具はシャキシャキ、口に入れるとフワッとほのかに香るごま油。麺のプロが試行錯誤の末に生み出した完璧なバランスは、グルメ焼きそばとも屋台の焼きそばとも家庭の焼きそばとも違う新しい理想の味だった。食材は地元のものにこだわり、豚肉は大町の『北村牛肉店』、野菜は由比ヶ浜の『浜勇商店』から仕入れ、飲み物は、鎌倉の〈ヨロッコビール〉と〈鎌倉ビール〉が作ったサイダー。サッポロ黒ラベルさえも、近所の酒屋『高崎屋』から仕入れるという徹底ぶり。地元愛が詰まったこの一皿を外のテーブルで食べながらビールを飲めば、最高の春確定だ。

インフォメーション

フードトラック

邦栄堂焼きそば

2023年3月4日オープン。水餃子やナポリタンなど焼きそば以外のメニューや、焼きそばの具材アレンジも検討中。

◯神奈川県鎌倉市大町5-6-15 11:00〜14:00 日〜木休

Instagram
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