ファッション
10 STYLE ESSENTIALS/Brendon Babenzien
2023年3月26日
新生活とファッション '23
photo: Omi Tanaka
coordination: Momoko Ikeda, George Matsuo
text: Tamio Ogasawara
2023年4月 912号初出
スタイルとは生き方である。好き嫌いがきちっとあり、
昔から長く残っているものを、ちゃんと長く着るのが、
〈ノア〉のブレンドン・バベンジンのスタイル。
「ルールに反しているのはわかっているのだけど、それが僕のルールなんだ」
家がビーチの近くで小さい頃から遊んでいたというサーフィンやスケートボードに、ニューウェーブやパンクといった音楽を聴いて育ち、それらが10代の頃からのトラディショナルなプレッピースタイルと自由に混じり合ってはき出されたのが、〈ノア〉のブレンドンのスタイルだ。そのカルチャーが好きだからと、着るものまで誰かに指図されるなんてのは嫌いで、スケートボードをするときでも、ジャケットを着たいならそうすべきだと思うタイプ。なぜなら、スケートボードカルチャーでは、みんな好きなものを着ているだけだから、スケーターのファッションなんてものはなく、何かのカルチャーに制服があるという考え自体がばかげていると思っている。
「ディナーに行くようなときから夏のパーティまで、いつでもスーツスタイルはいいと思っているよ。スーツってやつは、着たいときに着ればいいし、僕も朝起きたらスーツを着たい気分になっていることもある。着ているのは、〈J.クルー〉のヘリンボーンのリネンスーツなんだけど、サイズはルーズかつカジュアルで、着ていてとても気持ちがいいんだ。トラウザーズはストレートでテーパードもされすぎず、まだ裾上げをしていないのでまくり上げているだけ。シャツはというと、僕は小さい襟が嫌なんだ(笑)。’70年代のディスコカラーも好きじゃないが、でもシャツの襟っていうのは、合理的で実用的じゃないとダメだと思ってる。とてもスムースなコットン素材でシャキッとした着心地さ。
足元は、〈J.クルー〉のベーシックなローファーだよ。底もラバーで、レザーじゃない。革底だとビシッとしすぎているような気がしていてね。ネクタイもしないし、いろいろスーツのルールに反しているのはわかっているけれど、それが僕にとってのルールなんだ。オックスフォードシャツを着ている写真は、10代の頃の僕自身のプレッピースタイルだね。長く着られるようなヘビーオンスのオックスフォードシャツに、タートルネックのカットソーを合わせてる。ストライプとストライプの組み合わせが好きなんだけど、ちょっと変わった組み合わせがいい。結局、自分の好きなものだからどれを組み合わせてもいいと思うんだ。デニムパンツはアメリカ製を探すのが難しい時代だけど、日本の生地を使ってアメリカで作っている〈ノア〉の5ポケットジーンズをはくことが多い。
デッキシューズは韓国の〈キャッチボール〉ってブランドので、今までのどのデッキシューズよりも履き心地がいいんだ。もう2年は履いているよ。ソックスははかないことが多いけど、アーガイル柄だけは好きさ。プレッピーな青春時代を思い出すからね。ランニングするときにソックスをはくのも嫌いで、華氏45℉(約7℃)以上になったらもうはかない(笑)。だから、4つ目のランニングのときのスタイルも裸足さ。〈NEWTON RUNNING〉というブランドのランニングシューズは縫い目がほとんどない走りに適した靴で、もう12年これで走っているよ。
ショーツはランニングとスイム用の間みたいなものなんだけど、夏のアクティビティにはピンクが最適さ。スウェットフーディーはやっぱりアメリカンスタイルのスムースでもソフトでもないヘビーウェイトでドライでタフなものが好きだな。これはカナダ製だよ。僕はだいたい普段から半分くらいのバランスで〈ノア〉の服を着ているんだ。このスタイルは、“Low tech running kit!”とでも呼んでおこうか。最近は自分が何を着ているかをじっくり見たりはしないよ。ただあるものを引っ掛けて出かけるだけって感じだね。昔ながらの考え方かもしれないけど、服は長く着るものだと思っているから、長く残っているものが根本的に好きなんだ」
10 STYLE ESSENTIALS
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