カルチャー

目指せGEEK WATCH図鑑!!! Vol.6

写真・文/久山宗成 a.k.a. Donald

2022年9月3日

photo & text: Muneaki Kuyama a.k.a. Donald
edit: Yukako Kazuno

JACKETに似合う腕時計特集

こんにちは。奇天烈な腕時計の沼にハマり気づいたらコレクション本数700本以上。
GEEK WATCH偏愛家のドナルドと申します。

あっという間に夏が終わってしまいそうですね。というわけで、今回のGEEK WATCHは秋を先取り。「ジャケットに似合う腕時計」というテーマです。腕時計に合わせるジャケットは、友人がディレクションしているジャケットだけを作るブランド。その名も『JACKET』さんが手掛ける「スモーキングJKT」。

『JACKET』さんが手掛ける「スモーキングJKT」
『JACKET』さんが手掛ける「スモーキングJKT」。
『JACKET』さんが手掛ける「スモーキングJKT」。

スモーキングジャケットというのは食後に葉巻を吸ったりする時に、煙が付かないようにしたり、火の粉で穴が開かないように羽織るものです。これが進化してタキシードになったらしいので、いわばフォーマルの原型のようなJKTなんです。

『JACKET』さんはこのスモーキングJKTをモダンにアップグレードし、クラシカルなサイズ感にシャープさを兼ね備えたJKTに進化させたという訳です。今回はこれに合わせて似合う腕時計を説明したいと思います。
YouTubeのGEEK WATCH CHANNELもぜひご覧ください。

まずは、憧れの懐中時計。
その昔、イギリスの貴族はベストのポケットに懐中時計、チェーンを連結してベストのボタンホールに留めていました。このJKTは三つボタンで一番上のラペルが折り返されているのでベストを着なくても懐中時計&チェーンスタイルが出来ます。ポケットから時計を取り出し時間を見る所作もクラシックで趣深いですね。JKTのインナーは敢えてTシャツにするも良し。肩の力を抜いて、程よくカジュアルで良いかなと思います。

photo: Kouichi Nakazawa

次はJKTに似合う腕時計をいろいろ紹介していきます。
まずオススメしたいのが【THEおじさん時計】

昭和感満載のビンテージのアナログ時計は意外にJKTに似合います。時代が一周して、もはやモダン。アナログ時計はシンプルで誤魔化しが効かないので、高級感を感じるのがオススメ。

1970年代初期に存在した『SEIKO V.F.A.』(特別調整品)

現在の最高級ライン〈グランドセイコー〉より上位機種だった当時の販売価格はなんと12万円! (今の価値で40万円近く)。右上のLEDは一秒ごとに光ります。いかにも70年代なクリスタルカットガラスとグラデーション文字盤もCOOL。

こちらも『SEIKO V.F.A.』の腕時計

美しい曲線のケースに高級な文字盤がCOOL。

スイスの老舗高級腕時計『RADO』のビンテージ

天然石を使用した文字盤、楕円のレトロなデザインがよろし。

こちらも『RADO』

傷がつきにくい超硬金属とサファイアガラスの重厚感が高級感マックス。

巷で人気のロレックスではなく、少しハズして「究極」の意味を持つ〈Ω〉をリコメンド

どんなシーンにも対応する一本。

お次に紹介したいのは【70s初期デジタル腕時計】
今のデジタル腕時計と比べると分厚くて重たい。そして! 肝心の機能も全然ありません☺️。時間、曜日、豆電球ライトくらいのシンプル機能が逆に新鮮なんです。

『CASIO』の初期のデジタル腕時計といえば〈トロン〉

このメタル感はマニアにはたまらない一本。

こちらも『CASIO』の初期デジタル

プロトタイプのごときフロントボタンがたまらない。

『CITIZEN』の初期のデジタル腕時計〈DIGI-ANA〉

デジタル時計とアナログ時計の良いところ取り。

お次に紹介したいのはパーティーシーンにも最適な【カクテルウォッチ】と呼ばれるお洒落時計。
サイズもボーイズサイズで程よく、秒針がくるくるキラキラと回る。こういうのもさり気なくて大人のお洒落かなと思います。

スイスの『TERRIUM』社製のカクテルウォッチ

針の根元が見えないミステリーダイヤルに秒針がキラキラと回ります。

スイスの名門『チャンドラー』社製

目玉のようなフォルムのケースが個性的。秒針がくるくる回るカレイドスコープWATCH。

そして、ビジネスマンと言えば! の【電卓機能付き腕時計】
今や電卓は携帯で出来るのに、わざわざ腕時計でやるのがバカらしくてオススメ。

計算機付き腕時計の王様『HEWLETT-PACKARD HP-01 Calculator』

このゴツさがもう最高。ブロンズボタンの初期モデルです。

1977年発売の『CITIZEN』製

操作ボタンをベゼルに配置したユニークなデザインの超希少モデル。国産初の計算機機能付き。四則計算での計算機能付きで、8桁表示が可能。

隠れレア『CASIO』のなかでも特にマニアに人気なのが〈FLIP TOP〉

その名の通りアナログ文字盤をパッカ〜ンすると、電卓&電話帳が出現。ビジネスシーンにも使えそうなハンサムな顔の下にお茶目さを隠し持った名モデル。

お次はジャケットに似合うと言ったらやはり、Theシンプルなミニマルデザイン。
【建築家やプロダクトデザイナーが手掛けた腕時計】

ドイツの質実剛健の代表格の腕時計メーカーといえばの『ユンハンス』製

真面目なデザインでハイクオリティーなのがやはりメイドインジャーマニー。

プロダクトデザイナーで著名なフィリップ・スタルクがデザインを手掛けた『SWATCH』製の腕時計

ドーナツのように真ん中が抜けているという、とんでもデザインながら完成度は流石。フルステンレスというのも凄い。

先日急逝されたファッションデザイナー三宅一生さん、『ISSEY MIYAKE』が手掛けた腕時計

デザインは世界的に有名なガラスアーティストの吉岡徳仁。おそらく世界最厚風防の硬質ガラスがお洒落。

世界最高峰のデジタル腕時計を手掛ける『VENTURA』の腕時計

黄金比から割り出した一切の無駄を省いた潔いデザインがCOOL。

最後にこれは狙い目の【ジャンピングアワー機構の腕時計】
時刻が切り替わる時に時針がジャンプするように切り替わる変わり種。デザインも遊び心溢れるデザインが多いのが特徴的な一本。

『LORD ELGIN』の名モデルは、ロカビリーの方とかも知っていると思うんですけど、ジョニー・キャッシュという50年代の歌手が付けていて有名になりました。〈シェブロン〉と呼ばれていて、窓以外、全てフルメタルでボーイズサイズ感。何故ジャンピングアワーかというと、時間が増えていくと1時になった瞬間にジャンプするからなんです。この時計は時間の部分だけ見せればいいので、デザインする余地がかなりあって面白いものがあります。

ミュージシャンのジョニー・キャッシュが愛用した事で有名な『ELGIN』の高級ライン〈LORD ELGINのシェブロン〉

鉄仮面の愛称で知られ、ロカビリーの方に愛用者が多い。

スイス製の『HOGA』というブランド製

下が分で上が時間。星を散りばめたデザインやメタル感がシルバー好きの方にオススメです。

駆け足でご紹介しましたが、JKTに合わせる腕時計にルールは特にありません。思い思いの皆さん好きなスタイルで楽しんで貰えたらと思います。

プロフィール

ドナルド魔苦怒奈流怒

久山宗成 a.k.a. Donald

くやま・むねあき | 改造活動家、企画編集者、GEEK WATCH偏愛家。ワタリウム美術館のミュージアムショップ地下中二階にて、2014年より改造見世物小屋『+R.I.P. STORE』を営む。様々なマテリアルや手法を組み合わせてジュエリー、腕時計、プロダクト、舞台美術などを制作している。趣味的に始めてどハマりしたGEEK WATCHのコレクションは今や700本以上。現在『GEEK WATCH PEDIA』なる本を編集中。 

Instagram
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