ミュージックボックスにコインが投入され、あたりに音楽が響き渡ると、顔を真っ白に塗った1人の若い女性が、ロンドンのホテルで受付係としての夜勤を開始する。1981年に撮られた本作は、まるでホーンテッドマンションのような、霊的な妖しさすら漂わせるその空間で、黙々と仕事に従事する女性が、朝になりシフトを終えるまでをストイックに映していく。注目すべきは、セックス・ピストルズ結成の地『SEX』の元従業員であり、UKパンクのアイコン的な存在でもあったジョーダンが、この女性を演じていること。他にも、ペンギン・カフェ・オーケストラのサイモン・ジェフスが音楽を手掛けているなど、70年代後半に終息したパンクムーブメントと、80年代後半に産声を上げるYBA(少し前に国立新美術館での展示が話題になった)の間の真空地帯を埋めるUKサブカルチャーの手触りが、感じられる作品だ。8月22日より公開。
「Ikejiri Wart Fair」が気になる。
ワインやアートを軸に、食や音楽を交えながら、ワインをめぐる新しい体験と文化を探るプロジェクト「WART」。第2回となる今回は、池尻大橋駅前のガソリンスタンド跡地が舞台だ。次の役割へと移行するまでの“...
「おとぎの国のモードをさがして/Fairy Tale MODE」に行く。
小さいころから読み聞かされてきたおとぎ話。昔は当たり前に眺めていたものだが、改めて読み返してみると、実は物語の中の「装い」もまた重要な構成要素だったことに気づく。例えば、赤ずきんの赤いフードに、ラプ...
「倉敷安耶:女が生まれて、女が死んで、——母の血、ワイン、チョコレート、アルコール、アルコール、アルコール」に行く。
正直、この個展の副題「母の血、ワイン、チョコレート、アルコール、アルコール、アルコール」の惹きはすごい。母本人の血なのか、それとも母から受け継いだ血を指すのか。そしてワイン、チョコレートの後に繰り返...
舟越桂 版画展「―ね、どこを見ているの?―」が気になる。
彫刻家・舟越桂は、彩色木彫の人物像で知られる一方、継続的に銅版画、木版画、リトグラフも制作していた。生涯を通して、人間存在を見つめ続けた舟越。その作品に描かれる人物は、こちらを見ているようでも、遠く...
「瀧口修造 書くことと描くこと」が気になる。
瀧口修造と聞いて、詩や美術批評を思い浮かべる人は多いだろう。だが実は、彼の才能は「書くこと」だけにはとどまらなかった。SNSなんてなく、「批評家」が職業として成立していた時代に、瀧口がどんな美術観を...