ファッション

表現や生活の一部になる、作り込まないヘアと服。

『TETRO』/TOKYO HAIR SNAP '26

2026年3月28日

僕の着倒れ東京案内。


photo: Naohiro Ogawa
text: Akane Ono
2026年4月 948号初出

 単に髪を整えるだけでなく、音楽好きが集まる場所だと聞いて向かったのは、渋谷の美容室『TETRO』。スタッフの森田康平さんは、「踊ってばかりの国」や「Tocago」のディレクションにも携わりながら、情熱ある表現者を裏から支える、東京カルチャーシーンの重要人物。「確立されたスタイルがあるからこそ、作り込みすぎず、その人の個性を際立たせたいんです」。そんな『TETRO』でスナップをした6人に共通していたのは、彼らが髪型を「生活や表現の一部」として捉えていること。曲作りに没頭する松永拓馬さんのように寝癖さえも味方にする人もいれば、ハードなファッション現場を奔走する前原三四郎さんのようにカチッと髪を固めて気合を入れる人もいる。鏡の前で森田さんと気軽に話しながら、カットはお任せして、自分でも気が付かない〝らしさ〟を引き出してもらう。そうして整った新しい自分と、教わったばかりの曲を聴きながら帰る、少しの贅沢がここにはあるようだ。


爽快に自転車に乗るための機能性重視の丸刈り。

Kaisei Sakae/BLUELUG HATAGAYA スタッフ

さっぱりとした潔いヘアに、身近な人から引き継いだ一着 をラフに纏うのが今の気分。「自転車に乗ったり、アクティブな遊びが好きだと、この短さが一番理に適っているんです。髪も服も、風がスッと抜けるくらいがちょうどいい」

Shirt – Ctc Store
Pants – Hevds
Shoes – Mephisto
Bag – Blue Lug

曲作りに没頭するための日常に馴染む短髪。

Takuma Matsunaga /アーティスト

「森田さんに切ってもらうと、寝癖さえもスタイルのひとつになる」と、おまかせでカット。「自然の中で遊んだり、楽曲制作をしたりするので、時間がたって伸びても、不思議とサマになるこの髪が、一番しっくりくるんです」

Parka – vintage
T-Shirt – Burial
Pants – Kapital
Shoes – Vibram

仕事への気合も入るパンクなスクエアヘア。

Sanshiro Maehara /スタイリストアシスタント

前回は三角、今回は四角。そんなオーダーがスタンダードだという。「整髪料をしっかり揉み込んでシルエットを強調するのが、仕事へのスイッチ。服は好きなバンドTなど、着ていて高揚感を味わえるものを大切にしています」

Jacket – Craig Green
T-Shirt – Phipps
Pants – Tenderloin
Shoes – Vans
Cap – At Last & Co
Bag – JW Anderson

無造作に癖毛を生かしてステージで音を奏でる。

Midori Yamada/アーティスト(the hatch / vo, tb)

「髪を気にして肩に力が入ると良い音を奏でられない気がするんです」と、行き着いたのは癖毛を味方につけたラフなスタイル。「髪も服も痕跡が大切。だから自分の髪質は生かしたいし、ライブで地方に行くときは古着屋を回ります」

Jacket – vintage
T-Shirt – vintage
Pants – vintage

あえて寝起きを演出する脱力感のあるウルフ。

Soichiro Anzai/アーティスト(the hatch / per, syn)

作り込まない毛流れが、良い音を奏でる秘訣。「ライブのときは普段よりももっと、ボサボサかもしれません。寝起きのような髪だと、力がぬけて落ち着きます」。長めに残した襟足には、祖父から譲り受けた渋い服がよく似合う。

Knit – vintage
Pants – vintage
Shoes – Keen

あえて違和感を残したコンパクトな七三分け。

Sousuke Seto/料理人

「厨房では清潔感が絶対。でも、単なる短髪では物足りないんです」。耳にかけられる長さを残し、おでこを出すバランスに、シルエットや素材で遊ぶ、モノトーンの洋服がよく馴染む。「よく見ると工夫のある服や髪型が、理想です」

Jacket – Comme des Garçons Homme
Shirt – Phlannel
Pants – Omar Afridi
Shoes – Lemaire

インフォメーション

表現や生活の一部になる、作り込まないヘアと服。

TETRO

店内には、ライアン・マッギンレーやラリー・クラークの写真作品に、著名な作家たちの作品集がずらり。すべて店主の舞人さんのコレクションだ。つい曲名を聞いてしまう、BGMにも耳を傾けたい。カット¥7,700 ○渋谷区鶯谷町4-1 アバヴ渋谷3F ☎03·6455·1145 11:00〜20:00、土・日・祝10:00〜19:00 不定休

Official Website
https://www.tetro-hair.com

Instagram
https://www.instagram.com/tetro_hairsalon/

私が髪を切ってます。

森田康平

「お客様の気分を汲み取ってヘアを提案することがほとんどです。写真家や哲学者、音楽関係者など、職業を問わずカルチャーを愛するお客様も多く。特にミュージシャンは、服装も含め、すでに確立されたスタイルがあるから、作り込みすぎず、その人の個性を際立たせることを大切にしています」