ライフスタイル
この春は木の椅子がひとつ欲しい。
僕の部屋に欲しいもの、したいこと。
2026年3月4日
部屋とシティボーイ ’26
photo: Hiroki Oe
styling: Yutaka Aoki
grooming: Risa Fukushima
edit: Koji Toyoda
2026年3月 947号初出
友人と椅子の話になるたび、「木の椅子がいいよ」と口癖みたいに言っている。なぜって? 答えは簡単。大抵が手頃だし、その素材感も手伝って、日本の部屋に馴染みやすい可愛げな佇まいのものが多いからだ。発端は、昨年末に訪れた〈ポスタルコ〉のお店。〈カリモク〉と共作した「スタッコ」シリーズのアームチェアの〝優しい山男〟のような存在感に心奪われて、「木の椅子、いいっすね」となったのだ。そこで色々と調べてみると、あるある。小さな工房から世界のビッグメーカーまで。いいなと思える椅子は、やはりウッドだった。さらに背中を押したのは、ジャスパー・モリソンやエンツォ・マーリといった著名な家具デザイナーが、日本の木工メーカーの優れた技術を使って作る、未来の名作椅子の数々。多くが10万円を切る、(椅子にしては)リーズナブルな価格で、デザインの良さは言わずもがな。これ、知らなかったなぁ。ということで、もし君が家具を買い足す予定なら、こんな木の椅子を候補にしてみない?
T&O T1 Chair / Lightwood Chair
広島の老舗〈マルニ木工〉が培ってきた優れた木材加工技術を背景に、英国デザインの雄、ジャスパー・モリソンが軽やかにエディットした2脚。左が「T&O」、右が「Lightwood」と呼ばれるシリーズで、素朴な表情のウッドに、それぞれスチールとウェビングシートという工業的な異素材を組み合わせ、ポップな佇まいに仕上げた手腕はさすがのひとこと。座り心地も良きかな。左¥74,800、右¥72,600(ともにマルニ木工☎03·5614·6598)
PK3™
かのポール・ケアホルムには、存命中に製品化できなかった椅子がある。その一つが「PK3™」。70年間、幻の存在だったが、2025年に製品化。成形合板を使ったシャープな見た目は、木工職人からスタートし、金属を得意とした御大らしい素材使い。初めてのケアホルムに。¥83,380(フリッツ・ハンセン 東京☎03·3400·3107)
OOPSTOOL os02
「Out Of Place Stool(場違いなスツール)」と「Oops(驚き)+Tool(道具)」。2つの意味を持たせた「OOPSTOOL」シリーズの「os02」は奈良の木工作家、村尾守さんの力作。座るも良し、眺めるも良し。オブジェのような造形は部屋に一脚あるといい違和感に。暮らしの幅も広がる。¥82,000(ムラオ muraofurniture.stores.jp/)
KANJI CHAIR
波打つプライウッドと、灰色のスチール材のシンプルな美しさ。見るほどに細部に惚れ惚れする「カンジチェア」は、アップルストア1号店にも関わったインテリアデザイナー、植木莞爾の作。谷口吉生の名建築のために作られたという来歴も素敵。¥63,800(コンプレックス ユニバーサル ファニチャー サプライ☎03·3760·0111)
Yanagi Sankaku Stool SH440 / SH400
柳宗理の隠れた名作「柳 三角スツール」は高さ40㎝。低座スツールのマスターピースだ。長らく廃番だったが、2020年に『モノ・モノ』が復刻。サイドテーブル使いも念頭に置いた高さ44㎝&リノリウム座板も新たに作った。どっちにする? 左「SH440」¥55,000、右/「SH400」¥58,300(ともにモノ・モノ☎03·3384·2652)
HIROI CHAIR
「AAスツール」で知られる〈石巻工房〉にこんな椅子があったとは。キム・コリンとサム・ヘクトによる「HIROI CHAIR」は、奥行き以上に幅を広く取った座面がその名の由来。狭い空間でも場所を取らず、座り心地は浅いが、安定感は抜群。宇宙恐竜ゼットンのような姿もチャーミング。¥176,000(石巻工房☎0225·25·4839)
STAKKO Arm Chair Set
まさかの椅子と収納をドッキング。ありそうでなかった発明に膝をポンと打ったのが、〈ポスタルコ〉と〈カリモク家具〉による「スタッコ」シリーズ。チェアトップと箱型ブロックは、手回し可能なボルトで連結されたシンプルな構造なので、椅子の役目をお休みして、棚に転用することも。引っ越しや家族構成の変化とともに自在にトランスフォーム。¥252,670※クッションとラグをオプションで付けた場合(カリモク家具☎0562·83·1111)
Tawa Barstool
家具の町・佐賀県諸富町のレグナテックが展開する家具メーカー〈アリアケ〉による「タワ バースツール」。デザインは、ノルウェーのデザインユニット、アンデション&ヴォル。日本語のタワーから連想され、タワーの“屋上”に座り、“低層階のテラス”部分に脚を乗せる仕組み。巨人の気分。¥47,300(レグナテック☎0952·47·6111)
Crisis Chair
廃材を好んで使うオランダの奇才デザイナー、ピート・ヘイン・イークの家具は、代表的なスクラップ材シリーズよりも「クライシスチェア」のほうが断然好き。どこにもありそうなプライウッド材に無数のボルトを打ち付けるだけで、こんなに格好よく様になるとは。まさに天才的。¥88,000(シボネ☎03·6712·5301)
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